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2005.07.05

『アメリ』(2001年)

この作品はジャン=ピエール・ジュネ監督の風変わりなヒロインと風変わりな男の話しのようです。私の大好きな作品です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2001年 UFD/UGC他 フランス=ドイツ作品
ランニング・タイム◆121分
原題◆Le Fabuleux destin d'Amelie Poulain
プロット◆ヒロインが恋人を見つける話しのようです。
音楽◆ヤン・ティルセン
アルバトロス・フィルム/パンド発売のDVDにて。画質はよいです。スクイーズ収録のフル表示。画面サイズはワイド。上下黒味あり。

キャスト
オドレイ・トトゥ→妙なヒロインのアメリ
マシュー・カソヴィッツ→妙な趣味の男ニノ
リュフュス→医者のアメリのパパ
ロレーラ・クラヴォッタ→元教師のアメリのママ
クレール・モーリエ→カフェの主人シュザンヌ
イザベル・ナンティ→カフェの売り子ジョルジェット
クロチルド・モレ→カフェのウエイトレス、ジーナ
アルメル→常連のスチュワーデス、フィロメーヌ
アルチュス・ド・パンゲルン→常連の小説家の男イポリト
ドミニク・ピノン→常連のしつこい男ジョゼフ
ヨランド・モロー→アパートの管理人マド
セルジュ・メルラン→ガラスの骨の絵描きデュファイエル
ウルバン・カンセリエ→食料品店主コリニョン
ジャメル・ドゥブーズ→食料品店員リシュアン
モーリス・ベニシュー→昔5階に住んでいた宝箱のブルトドー氏
ティッキー・オルガド→スピード写真に写ってるラテン系の男
クロード・ペロン→ポルノ店のエヴァ
マーク・アミオ→自動写真機の修理人
アンドレ・デュソリエ→ナレーション担当
フローラ・ギエ→6歳時のアメリ
本人→猫のロドリーグ

ジャン=ピエール・ジュネ監督の演出はよいと思います。
脚本のアイデアの詰め込みぶりには感心しました。よくこれだけのたいしたことではないようですが実は大切なことの数々を詰め込んだものです。
あまり詰め込んであるので初見では設定が全部理解出来ません。なるほどこういうのもあって劇場でのリピーターが出るのかとなります。詰め込みすぎだけではなくても何回も見たくなるのは間違いないよい作品ですけど。

この作品はカラーデザインが凄い。
グリーンとオレンジとレッド。この3パターンか?

CGの使い方は出過ぎてるわけではなくそれなりに節度をある使い方に思えました。
衝突するクルマは赤と青。
アメリが八百屋の実家を訪ねるところで奥に駐車しているが見える鮮やかな青のニューワーゲン・ビートル。これは当然そのようにデザインして配置されているということです。

パリの街はクルマの路上駐車で溢れています。これが普通なんだと思うけど。
バイクが意外に目立たないのはモペットを強調したいのかも?、実際はバイクが溢れているはずです。
『シャレード』(2002年)では街中は走ったり停まっていたりでバイクだらけでしたけど。

この作品はは実際のフランス国内にいるアフリカ系が出ていないと言われてるけど、多少は出ています。

地下鉄のシーンが何となく素敵です。
フランス語では地下鉄はメトロという。何故知っているのかというとメトロン星人の名前の由来からです。
『アメリ』にはメトロン星人が出てもおかしくはないと思えます。地下鉄で知り合ってアメリのアパートにやってきたメトロン星人には中江真司の声で「この部屋もいいけど、私が日本に滞在したときのように畳の部屋でちゃぶ台があった方がいいな」と言ってもらいたい。

施しを受けた浮浪者?が「日曜には働かない」と言うアイデアは、星新一の1コママンガ批評エッセイの『進化した猿たち』の中の1コママンガで見たことがあります。
ところで地下鉄のホームでレコードなんて再生してるとJASRACに金を取られます。

カメラがよく動いています。クレーンを使った動きがいい。ステディカムばかりでは飽きがくるのでいいです。
セックスの振動ギャグは『デリカテッセン』(1991年)でも使われていました。このネタが好きですね。
お化け屋敷にお化けがアメリのあごの線をなでるとこのクローズアップショットがあります。これいいな。

6歳のアメリはある理由で学校にいけなくなります。これも素敵な理由になっています。
緑色の怪物と遊んでいます。これは何だ?
クジラという名の金魚のエピソード。クジラは自殺を計り小川に放されてしばしアメリを見つめます。金魚が見つめるだけでいいショットになります。CGは金魚にも演技させることが出来るようです。

中古カメラのエピソード。偶然に交通事故の写真を撮るアメリ。
そのことで意地悪なことを言った隣りの男にTVのサッカー中継を妨害する復讐をするとこが傑作です。
サッカーは何のために見る?→それはゴールシーンを見るためです。そこがぶつ切りになればストレスは最高潮となります。アメリはサッカーの実況放送のラジオを聞きながらアンテナを切ったりつないだりしていたようです。どこでそんな知識を仕入れたんだ?

アメリの母は教会で飛び降り自殺の人の巻き添えで死に至ります。
教会で自殺とはブラックです。日本でもお寺で鐘の隣りで首吊り自殺でもやればいいのでは。日本では年間30000人自殺者が出てるらしいので変わった人がいるかも。でもこれをやっても自主規制という検閲でニュースにはならないな。

子供時代から飛んでダイアナ妃が事故死したとニュースでやっていて1997年当時となります。
ダイアナ妃も妙な人だったような。早く死んで伝説となって幸せなのかもしれません。死ぬのが遅すぎたくらいか?
TV局はアンテンドゥー(チャンネル2)のようです。

この日にアパートにて40年前の宝物を発掘するアメリ。
ここに昔住んでた宝物の持ち主はブルドトーではなくブルトドーでした。このおかげでアメリが移動する素敵な地下鉄のシーンが見れます。

無事に40年前の宝物を渡したとこで「世界は完璧」という言葉が出ます。
この言葉は常套句のようです。
それで道路横断の目の見えない老人に周りのことを手を引きながら説明するアメリ。まるで天使のようです。

日本で40年前の宝物が見つけるのは無理でしょう。建物が残っていません。一軒屋でも残らないのアパートではなおさら無理です。

カフェ・ドゥ・ムーランで働くアメリ。メニューの逆文字が書けるようです。
劇中映画を見てるシーンがありましたが『突然炎のごとく』(1962年)か?。もう1本のスペンサー・トレーシーが出てるアメリカ映画はわからんかった。

で、映画を見ての間違い探しやあら探しはやらないほうがいい。
これほど映画を見て楽しむことをスポイルすることはないと思っています。まあアメリは映画を見るより、映画を見てる人を見るのが楽しみなのでそれでいいのかもしれませんが・・・

何故か自分が主役になっているTV番組を見ているアメリ。
アメリ・プーランは23歳で死んだと悲劇の主人公と化しています。このTVは不思議な形をしています。どこ製なのかな。→フィリップス製のようです。無難なオチでした。

アメリのアパート(フランスだからアパルトマン?)は貧しいがシックを絵に描いたようなアパートです。
一応セックスの経験はあります。アメリのキャラクターを描写するにあたり、これが案外重要だったりします。処女では違う話しになりそうです。
水切り用の石を拾うのがアメリのゲン担ぎのようです。

偶然に鍵が手に入ったのもあって食料品店主コリニョンに手の込んだいたずらをするアメリ。
生活のリズムを狂わすいたずらです。どこでそんな知識を仕入れたんだ?
ところでこの食料品店主はマザコンなのかい。
プロンプターの助けを借りて食料品店主をやりこめるとこがあります。これはいいな。

ガラスの骨の絵描きデュファイエル。
何でTVの枠が布張りなのはガラスの骨だからです。
ルノワールの絵を描いてるらしい。絵のことは詳しくないですが息子のジャン・ルノワールが映画監督なのは知っています。父から息子へ動かない絵から動く絵に移行するとこが妙に筋が通っています。さすが、おフランスです。
食料品店員が喋りすぎのバカが過ぎて画家に怒られるとこが身につまされたりします。
アメリと画家は望遠鏡で覗きあいをしています。
ビデオを送るのは何の意味があるのでしょう。

世界各地の名所の旅をするドワーフ人形。
何でそうなるの?となりますが種明かしをすればなるほどそれは合理的ですとなります。ギブ・アンド・テイクではないですか。猫を預かっているという伏線。この猫は黒っぽいトラ猫です。
で、人形が旅をするなら私もすると旅に出るアメリの父。これもいいアイデアです。

浅草の花やしきみたいなお化け屋敷で働く特殊な青年ニノ。
モペットで移動する特殊な青年ニノ。
フランス語のことわざが何で日本語字幕と合う?ホントに同じ意味のことわざがあるのか?適当に置き換えたのか?

セックスショップはVHSビデオばかりです。
バイブレータもあるけど。

ニノはモペットを乗っての時ヘルメットを被ってるけど、あごひもを締めないとヘルメットを被ってる意味がない。こまったものです。

待ち合わせ?のモンマルトルの公園にて。
特殊な青年ニノの大切なコレクションアルバムはアメリの手にあります。
これでまた手の込んだ誘導作戦を展開します。銅像が矢印になっているとこがあります。これがまた本物の人間が扮している。デジタルとアナログが混在している面白い手法です。

矢印はディレクションなのです。映画に合ってる記号です。
『私は告白する』(1952年)のプロローグに出ていたのやけに印象に残っています。アルフレッド・ヒッチコック監督なので矢印の先には死体があったりします。

謎のスピード写真の男は何者か?と引っ張ります。
で、これもオチが意外で何でもなかった。→ただのスピード写真器の修理人でしたとなります。そりゃ修理後のテストで撮るわけです。この脚本は上手いです。

裏がメモ替わりになっているスピード写真の誰だかわからん同一ラテン男4人がアメリは美人ではなく可愛いんだと議論しているのがいい。
フランスでは背が高いことをキリンとたとえるのですか。面白い言い方です。

アパートの管理人マド、マドレーヌの愛称がマドとのことです。
この人のために40年前のラブレターを偽造するアメリ。
最初は何をしているのかわからなかったりします。手紙を紅茶で変色させているようです。

ヒロインのオドレイ・トトゥはビー玉のような黒い瞳が印象的です。
これは褒めているのです。何を考えているのかわからない瞳。大きな黒目が素敵です。
何故オドレイ・トトゥは何であんなに黒い目をしている?
大きく丸くて黒い、黒いのは当然か?、きれいな黒目をしています。
マンガみたいな黒目をしています。
この黒目でオーディションを通ったのでしょう。

この作品とちょうど2本立てになるのは?
『シャレード』(2002年)だと思います。マジで合ってると思う。
パリで黒目が素敵な2本立てになります。作品の全体的な雰囲気も似ているし・・・

アメリのオカッパのヘアスタイルが魅力的ですが全編のこのヘアスタイルというわけではなく色々なヘアスタイルを見せてくれます。
ヘアスタイル・・・
刈り上げのオカッパ。
結い上げた引っ詰め。
この2種類を交互にしているようです。使いわけはわからない。
最初はオカッパで世界はパーフェクトに思い盲の老人に辺りの風景を解説した次には引っ詰めになっていました。
それっきりかと思ったらオカッパと引っ詰めを交互にしていました。

肩にかかってるストラップが微妙にずれているがいいんですね。
右利きのようです。変わり者なのに左利きではないの?まあいいけど。
よくこのような女優さんを見つけてきましたねと感心します。ちゃんとオーディションをやっているんだとなります。

つづりは同じで読みは少し違う実在のアメリー・モーレスモという名のテニス選手がいます。もちろんフランス人です。映画のアメリとは全然タイプの違う人です。風変わりのとこは似ていますけど。

キャストでジャン=ピエール・ジュネ監督作品常連のロン・パールマンが出ていません。
何で?合うキャラクターがいなかったのか、アメリカでB級アクションに出るのが忙しくてスケジュールが合わなかったのか?スピード写真器の修理の男なんて合ってるような感じがするのですが。

アメリ風に、
私の好きな物は?→1週間ぶりに乗るバイクのエンジンがセル1発でかかった時。
私の嫌いな物は?→ハズレの映画を見た時。見始めた映画は早送りせずに最後まで見る主義なので自分の選択眼の悪さを呪うだけです。

私のフランスに関する知識はホトンド大藪春彦の小説『狼は復讐を誓う 第一部 パリ篇』から仕入れたものです。
ですからかなり偏見があると思えます。
フランス、パリの若い女性は貧乏で売春してカネを稼いでるとか。おカネがないのでブティックのショーウィンドウを眺めているだけの貧しいがシックなファッションのパリの若い女性と描写されていました。「貧しいがシック」というフレーズはこの小説からの引用です。

フランスの電球のソケットはねじ込み式ではないようです。
少し回すだけのはめ込み式になっているようです。さすが合理的な国だ。

アメリの心臓病と診断されたエピソードから、私が血圧を始めて計った時には急に腕が締まるのでビックリして血圧が上がって150ぐらいになったことを思い出した。

もっとぶっ飛んでいるのかと思っていましたが意外とまともなロマンティック・コメディのようでした。このくらいの描写バランスだから劇場で大ヒットになったのかも。
何となくレトロな雰囲気なので私にはカラー版のTVシリーズ『ウルトラQ』(1965年)の一編という感じもします。

予告編や紹介で見たシーン以外の何でもないシーンがよくないと出来がいいとはいえないようです。この作品は全編よい出来でした。
そんなわけでファンタスティックでロマンティックなよい作品でした。



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コメント

この映画は面白いですね。見て得した気分になる映画でした。しかし、1回観ただけで、ロイ・フェイスさんのアメリに関する記事を見ているとなるほどと、思いました。僕が気づかなかった事がたくさん書かれていました。しかし、何回も観たい作品ですので、近い内にまた観たいと思っています。

ディープインパクトさん、毎度のコメントをありがとうございます。

『アメリ』はいいですね。見てて幸せな気分になります。
このような作品が意外と少ないので貴重なのです。

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