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2005.07.21

『スターリングラード』(2000年)

この作品はジャン=ジャック・アノー監督の戦争映画です。
ジャン=ジャック・アノー監督作品は見たことがなかったのでお楽しみでした。『子熊物語』(1988年)を撮った後に『愛人ラマン』(1991年)を撮るセンスが興味深い。子熊も愛人もその生態を撮るのは同じなのかとなります。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2000年 マンダレー・ピクチャーズ ドイツ=英国=アメリカ=アイルランド作品
ランニング・タイム◆132分
原題◆Enemy at the Gates
プロット◆狙撃の才能をプロパガンダに利用される話しのようです。
音楽◆ジェームズ・ホーナー
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。

キャスト
ジュード・ロウ→ソ連の狙撃兵ヴァシリ・ザイツェフ
レイチェル・ワイズ→ヒロインのターニャ
ジョセフ・ファインズ→ソ連の将校ダニロフ
エド・ハリス→ドイツのケーニッヒ少佐
ボブ・ホスキンス→ソ連の後の書記長フルシチョフ
ガブリエル・トムソン→子役のサーシャ、男です。
ソフィー・ロイス→ヴァシリの同志ルドミラ
ロン・パールマン→ベテランのソ連兵クリコフ
イバン・シュベドフ→同志ヴォロージャ

ジャン=ジャック・アノー監督の演出はよいと思います。
ソ連もドイツも英語を喋っていますが作品の出来がよければ気になりません。この作品は非常に出来がよかった。
飛行機等はCGで描写されているようです。爆撃で水面に立つ水柱もCGのようです。使いこなせるならCGはどんどん使いなさいと思います。ムダ使いではなく使いこなせるならですよ。

プロローグに狼を撃つシーンがあります。これは伏線だったの?。
1941年から始まるようです。
列車にて、ジュード・ロウ扮するヴァシリ・ザイツェフとレイチェル・ワイズのヒロイン、ターニャは最初にもう会っていたのですか。でもターニャの方は気がついていなかった。ありがちですが、いいなこういうの。
移動中の列車ではさすがに座っていました。日本の満員電車とは違うようです。

ソ連軍には戦術があるのですか。あるとしたらそれは人海戦術というか人柱戦術のようです。脱走兵は撃ち殺すと派手にやります。これを見てるとハンドガンは味方を後から撃つことや自殺用にしか役にたたないと思えます。
そういえば第1次世界大戦のヨーロッパ戦線では戦線が1メートル前後するだけで大量の歩兵が犠牲となる消耗戦となり結局前線の位置はあまり変わらずになってたとか。全然懲りていない。

スターリングラードの市街地の戦場にて。
これがライフルは2人に1挺というやつですか。ひどいな。それでも実包は1人に1クリップ5発のみを配給されるようです。だから何なんだとなります。
ドイツ軍に対して戦力的に全く劣勢で退却すれば味方のソ連軍から撃たれると散々な状態。これもひどいな。
ここで死んだふりをしていて助かった2人は知りあいます。
ジュード・ロウ扮するヴァシリはライフルを撃ってくださいと渡す時に距離を計って照尺を調節してライフルを渡します。このディテールがいい。
で、ジョセフ・ファインズ扮するダニロフは実包が装填されていないのに気がつかず撃てずに返します。銃の撃ち方も知らないようです。
ヴァシリは配給された1クリップ5発を装填して5発で5人を命中させます。と対称的なキャラ紹介でした。お見事です。

この一件から派手に新聞で宣伝となり、ヴァシリは一夜をあければ有名人となります。新聞報道でヴァシリの戦果が増えるモンタージュがあります。これは古典的な描写です。
プロパガンダの描写でやたらと一緒に写真に写りたがるフルシチョフとなります。

ソ連とドイツを行き来する子役のサーシャはどこの家でもエサを貰う犬や猫みたいなのものですか。チョコレートを貰えば何でも喋ります。アメリカ占領軍に「ギン・ミー・チョコレート」と言ってたのがDNAに染み込んでいる日本人には説得力があり過ぎなような。ブラックです。
ダニロフはサーシャを使ってヴァシリのことをドイツに教えたりします。
この子役の顛末も昔とは違う描写バランスになっています。進歩しています。

戦場で個人的アルバイトするドイツ兵の描写がありました。早い話、死体からの物取りです。
ここでヴァシリの認識証がドイツ軍に渡ります。そうなるとヴァシリは死んだものとしてヒロインのレイチェル・ワイズをくどくジョセフ・ファインズ。キャラに合い過ぎています。

ジュード・ロウ扮するヴァシリは狙撃は得意でも字を書くのは苦手なようです。ジュード・ロウの演技は文句なしでした。羊飼いにしては洗練されすぎというものありますけど。

ジョセフ・ファインズはあまり好きではなく。兄のレイフ・ファインズのコネで業界入りした奴だなと思っています。そんな偏見で見ると、この作品のキャラクターに合い過ぎていました。
たまたま新聞発行に配属されていたからよかったようなキャラで何しろボルトアクションライフルの撃ち方もろくに知らないのです。
それにしてもジョセフ・ファインズは嫌みなキャラがはまり過ぎ。
ヴァシリ、おまえが気に入ったから宣伝してやるぜといった感じです。
ヴァシリ、手紙の文句を考えてやるから早く字を書きなといった感じです。
インテリが羊飼いを飼っているといった感じになっています。
ヒロインのレイチェル・ワイズ扮するターニャに会ったそうそう「君のドイツ語を理解出来る能力が必要なんだ」とナンパするジョセフ・ファインズ。キャラに合い過ぎています。
それで移動させたターニャをさっそく口説くジョセフ・ファインズ。キャラに合い過ぎています。
死んだと思っていたヴァシリが戻ってターニャと会っているのを目撃し嫉妬して新聞にヴァシリの悪口を書くジョセフ・ファインズ。キャラに合い過ぎています。
わざわざドイツからヴァシリを仕留めにケーニッヒ少佐が来たのはあんたがプロパガンダしたせいでしょう。
それでクライマックスにはプロローグでの2人状態になりますが、ここでも狙撃戦を前にターニャは砲撃で死んだと告げるジョセフ・ファインズ。あくまでも嫌みキャラに徹しています。とても演技とは思えず屈折したキャラに合い過ぎています。これはキャスティングの勝利でしょう。
ジョセフ・ファインズ。いくら出演作を増やしても俳優としての評価は兄のレイフ・ファインズを上回ることはない。このコンプレックスがにじみ出ています。

子役と合わせて嫌みなキャラが2人となっています。権力志向むき出しのフルシチョフはステロタイプのキャラでどうってことない。
才能はギフトと言っています。タレントと言ってないのが興味深い。

エド・ハリス扮するドイツ軍のケーニッヒ少佐は任務は終わった国へ帰れと命令されソ連軍に渡ったらこまるから認識票を渡せと言われ渡します。その後でメダルを付け替えていましたが何の意味だたわからず。メダルにどういう意味があるのかがわからんので見てて処置なしてす。タグ=認識票とのことです。MP3用語かと思っていました。英語ってシンプルですね。
プロローグの伏線からエド・ハリスが狼だったようです。年老いた銀色狼といったところです。

ボブ・ホスキンス扮する後のソ連書記長フルシチョフ。特殊?メイクも決まってなりきりのボブ・ホスキンスは怖すぎのいい演技でした。知らないで見たら誰もボブ・ホスキンスとは気がつかないと思います。

レイチェル・ワイズは額の髪の生え際が何というか富士額というのか、これが魅力的。ミラ・ジョボビッチも富士額ですが少し極端なので、ここは少し控えめなワイズの方がいいです。
雑魚寝中のセックスシーンがいいです。このへんの描写が『子熊物語』(1988年)的?なのかも。

ソ連のボルトアクションのライフル、モシン・ナガンM1891/30はモーゼル・ボルトアクション・ライフルからのコピーといった方が早いですか。7.62mm*54R、3.5倍スコープ付き。
ドイツが本家のモーゼルKar98K。7.92mm*57モーゼル、こちらは倍率の高そうなスコープ付き。
ソ連軍はもちろんドイツ軍でもまだ自動小銃はなかったようです。
狙撃戦では潜望鏡を使って相手を見るとこがありました。頭を出すと撃ち抜かれてしまうからです。
狙撃戦で距離をハッキリと言ってたのは155-160メートルとのこと。このくらいの距離と狙撃では近距離になるのでは。そんなわけで狙撃戦を期待すると外されます。

ソ連軍のオートマティックのハンドガンは現在の日本でもおなじみのトカレフです。このハンドガンはコストと機構の節約で安全装置が付いてなく撃鉄を戻した状態、ハーフコックで安全ということになっています。でも作動は自動式でショートリコイルはちゃんとします。実包は7.63mm*25モーゼル。
もっぱら味方の歩兵を撃つのに使用していたリボルバーはナガンで実包は7.62mmナガン。

狙撃戦の描写はどうかなと期待して見ました。1キロ=1000メートル位離れて撃ち合うのかと思ったら、それほど長距離ではないようです。
狙撃戦では高い位置にいた方が有利となっています。

狙撃物というとハワード・ホークス監督、ゲーリー・クーパー主演の第1次世界大戦が舞台の『ヨーク軍曹』(1941年)を見たことがありますが、これはドイツ兵を七面鳥に見立てて狙撃してたりする相当に能天気な作品でした。まあ国策映画の時期ですから無理もないですか。
ボルトアクションのライフルはM1903スプリングフィールドで実包は30-06(7.62mm*63)。

ソ連にドイツ、どちらの国も指導者というかリーダーがろくでもなくて最悪ですね。ソ連がスターリンでドイツがヒットラー。国民は自国を生まれたことを呪いたくなるでしょう。
日本の指導者というかリーダーは誰だったのでしょう。東條でも天皇でもない。東京裁判の連中でもない。いったい誰?
現在の日本でも多数の慇懃無礼発言がそのまま垂れ流しになるのを見るとなんだかなと思えます。独裁者なき独裁国家なのかとなります。

プロパガンダですが、今現在の日本でも見聞き出来ます。これがまた見事に統制されていて感心します。具体的にはよくわかりませんけどそんな感じ。
私が気がついたとこでは、限られたTVや新聞のニュース枠をどうでもいいニュースで埋めてしまうケースがよくあります。これはプロパガンダのバリエーションなのかと思えます。
ニュースで全部わかっていることを選別し少しずつ小出しにして「〜とわかりました」と報道(特にNHK大本営ニュース)するとこもプロパガンダのバリエーションと思えます。
権力側の都合の悪い時に権力側の都合の良いニュースとなります。偶然の一致の訳がない。ニュースが起こるものではなく配給されるものというのがよくわかります。


そんなわけで、これは見事な作品で狙撃戦描写のリアルと一応ハッピーエンド?になってる妥協のバランスがいい佳作です。ジャン=ジャック・アノー監督はく上手いです。


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