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2005.07.09

『死刑執行人もまた死す』

この作品はフリッツ・ラング監督の反ナチ映画の傑作です。
ナチスが悪役の作品は正直いってもう結構と言った感じなのですが実際にナチスから逃れてきたフリッツ・ラング監督なら話しは別です。
他の作品ことですが当時の国策映画ならともかく最近になってもいまだにナチスが悪役というのがあったりしますがそういう類いは全く見る気がしません。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1943年 アーノルド・プレスバーガー・フィルムズ/ユナイト アメリカ作品
原題◆Hangmen Also Die
プロット チェコでのナチスドイツ総督狙撃犯を捜索するゲシュタポとレジスタンス側の抗争の話しのようです。
DVDにて。画質は結構よい。日本語字幕がDVD方式ではなくてすでにビルトイン?されていました。ですから消せません。これはコストダウンの一環と思われます。

キャスト
ブライアン・ドンレビー→狙撃を実行したヴァニヤック=スヴォボダ医師
ウォルター・ブレナン→ノヴォトニー教授
アンナ・リー→ヒロインのマーシャ
デニス・オキーフ→ヒロインのフィアンセのヤン
アレクサンダー・グラナッハ→ゲシュタポの警部グリューバー
ジーン・ロックハート→ゲシュタポのS(スパイ)のビール屋チャカ
H.H v.トゥオドースキー→ナチスドイツのハインドリヒ総督

フリッツ・ラング監督の演出はよいと思います。

ナチスドイツ占領下のチェコが舞台です。
ゲシュタポの総督が登場早々わざと落とした物を部下に拾わせたりチェコ労働者のことを「ブタども・・」なんてセリフを吐いたりと出だしからかましてくれます。

総督狙撃のブライアン・ドンレビーが映画館に逃げ込んだところで口コミで総督狙撃の情報が伝わり映画そっちのけでこのことに全員で拍手するとこがありました。これは面白い。

メロドラマな設定も入れてあります。これはアメリカ作品にはかかせません。ただ入れるだけではなく上手く設定していました。特にアンナ・リーがブライアン・ドンレビーに詰問しようとするとこで盗聴されていることを知らされていきなり総督狙撃の話しではなくて色恋沙汰を装うアンナ・リーのいかにも読んでいます調の話し方になってるとこなんて全編息詰まる話しの中で、この色恋沙汰なので捜査空振りの図は唯一のユーモアのあるシーンでした。

クライマックスのゲシュタポの警部グリューバーを巡る動きでは当時は携帯電話がなくてよかったですねという展開でした。ゲシュタポから警部に連絡が取れた時点でゲシュタポのスパイを総督狙撃犯仕立てる計画全てが破綻する設定でスリル満点でした。
レジスタンス側だって遊んでいるわけではなく必死なのがよく分かります。ゲシュタポの警部を始末しなくてはと行動するときはマジで実行するということのようです。場所はロッカー室なのでそこにある畳んだタオルで顔を覆る殺し方がまたリアルでした。
太った丸顔の人に悪役のグリューバー警部やゲシュタポのスパイのびビール屋チャカ役をやらせています。普通は丸顔の人は善人タイプなのにこの作品では逆にしています。意外な効果を狙ったのかもしれません。

結局総督狙撃犯が逮捕されれなくてもされても人質になった人達は処刑されることのようです。ナチスの威信を保つために処刑されたことを淡々とした描写で表していました。
ラストで暗号文を読むシーンでは数字の羅列をオーバーラップで解読されて見せる手法が使われていました。
それから映画が終わっても現実はまだ終わってはいないとNotと出てからThe Endとなっていました。これもキツイです。

ノヴォトニー教授役は誰かなと思ったらこれがウォルター・ブレナンとは驚いた。モノホンの教授かと思えるほどでした。知性と勇気が同居した理想的教授キャラの名演技でした。酔っ払いの保安官助手のタイプキャストしか出来ないのかと思っていたのでこれは驚きました。
ノヴォトニー教授は娘のことをモンキーと呼んでいました。これはよくある呼び方なのかな。
ブライアン・ドンレビーは包帯の巻き方から職業が医師であることを分からせます。ウエスタンの悪役ばかりのブライアン・ドンレビーですが悪役でないキャラのドンレビーは初めて見ました。

ゲシュタポの警部グリューバーは演じるアレクサンダー・グラナッハはアクの強いルックスで出るたびに場面をさらっている好演でした。
ジーン・ロックハート扮するゲシュタポのS(スパイ)のビール屋チャカはなかなか強烈なキャラでこれも凄い。こんなに憎たらしいキャラはめったにお目にかかれません。それで描写バランスを保つために手痛いしっぺ返しを受けます。このビール屋のイニシャルK.C.入りのライターが効いていました。陥れる計画を立てたレジスタンス側も偶然に助けられていたのがまたいい。

国策映画といえば日本映画では『ハワイマレー沖海戦』(42年)を見たことがあります。これは結構まともな国策映画作品で山本嘉次郎監督と特撮担当の円谷英二は立派な戦犯です。映画がお粗末な出来ではそれこそ国辱ものなのでたいしたものです。決して褒められてものではないが時の政府の方針に協力してまともな作品に仕上げる。これのどこが悪いんだ?


そんなわけで緊張感たっぷりでリアルと娯楽のギリギリな描写バランスが絶品な作品でした。これは凄いや。

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» ■〔映画評Vol.14〕『死刑執行人もまた死す』(1943/フリッツ・ラング) [太陽がくれた季節]
こんばんはー 休みボケから完全脱却すべく((^^; 久々のエントリーです!! 今週も数多くの皆さんのご来訪に感謝しておりますm(_ _)m 数多くのTB、コメントを頂き誠にありがとうございます! 僕に取って、皆さんから頂く温かいコメントから学んでいる部分は多く、 また皆さんとのお喋りこそ一ブロガーとして最も楽しい部分です、 何にせよ((^^;皆さんから頂いたコメントへのお返事も遅め遅めに為っておりますが、追ってお返事をさせて頂きまーす!! *** さて(... [続きを読む]

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