『外套と短剣』(1946年)
この作品はフリッツ・ラング監督にゲーリー・クーパー主演のナチスが絡むスパイ・サスペンスです。このコンビなら未見でも出来の方は保証付きと思いますが過度な期待はしないようにしましょう。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1946年 ワーナー アメリカ作品
原題◆Cloak and Dagger
BS2衛星第2放送にて。画質はまあよい。
プロット ナチスドイツから科学者を救出する話しのようです。
音楽 マックス・スタイナー
キャスト
ゲーリー・クーパー→科学者のアルバ・ジェスパー
リリー・パーマー→イタリアの工作員ジーナ
ヘレン・シミグ→ローダー博士、女性です。
ブラジミール・ソコロフ→イタリア人のポルダ博士
ロバート・アルダ→仲間のピンキー
フリッツ・ラング監督の演出はよいと思います。
製作はミルトン・スパーリングです。、この人は20世紀フォックスのボスである製作者ダリル・F・ザナックの子分?みたいな人で製作者にしては珍しい良心のあるタイプのようです。子分といっても太鼓持ちではないようなのです。
プロローグ。
依頼を受けてスイスヘ向うゲーリー・クーパー扮する科学者のアルバ・ジェスパー。スイスに着くとそこは何もかもが怪しく見えるようになっていました。
スイスにて。
女スパイのアン・ドーソンの筆跡を真似てどうする?→これは女スパイを逆にはめる工作のためでした。脅迫してローダー博士の居場所を吐かせます。
ですがスイスではローダー博士を救うことが出来ず、次はイタリアに潜水艦を使って潜入します。
イタリア人のポルダ博士は娘を人質に取られていて別々の親子を一挙に救出して飛行機で逃がす計画となります。こちらの計画がクライマックスとなります。
どちからといえばこの作品はラブロマンス度が強くて、同じフリッツ・ラング監督で主演はスターが出ていなくて悪役専門のブライアン・ドンレビィとかサポート専門のウォルター・ブレナンが出てた『死刑執行人もまた死す』(43年)のような強烈な緊張感はありません。ほどほどな緊張感といったところです。
ゲーリー・クーパーと悪役との格闘シーンでは屋外で流れている歌に合わせて進行して歌が終わると死人が1人出来るとなっていました。クーパーではありません。当たり前ですか。
互いに顔を掴む格闘が当時にしては目新しい暴力描写となっています。
ラストに来る迎えの飛行機は双発の爆撃機のようです。型名が分からん。輸送機のダグラスDC3ではないのは確かです。現在ではヘリコプターになるでしょう。
リリー・パーマーのデビュー作とのことです。イタリアのゲリラ活動員です。
話しのマクガフィンとなるピッチブレンドとはウランのことで、モナザイトはトリウムとのことです。マンハッタン計画の名が出ていました。
あまり重要ではなく話しを進行するためだけに出てきます。
正直言ってこの手の話しは戦時中なら許されると思ってしまいます。製作するタイミングが少し遅れてしまったようです。だからクーパーはアルフレッド・ヒッチコック監督の『海外特派員』(40年)に出ればよかったんですよとなります。
そんなわけでまあ水準なサスペンス作品でした。期待しすぎたかな。
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