『暗黒街の顔役』(1932年)
この作品はハワード・ホークス監督のギャング映画です。製作時の1932年当時としては画期的なアクション描写と強烈なキャラクターの作品となっています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1932年ハワード・ヒューズ・プロ/ユナイト アメリカ作品
ランニング・タイム◆93分
原題◆Scarface
プロット◆成り上がって破滅するギャングの話のようです。
音楽◆Gus Arnheim→musical director
音楽◆Adolph Tandler→musical director
LDにて。画質はそれなりに悪い。音声はプチプチノイズが入りまくり。ですが古い映画だから気分が出ていいやと、もう気にしない。
キャスト
ポール・ムニ→強引なトニー・カモンテ
ジョージ・ラフト→トニーの相棒リナルド
アン・ドボラク→トニーの妹チェスカ
カレン・モーリー→ロボの情婦ポピー
オズグッド・パーキンス→新しいボスのロボ
ボリス・カーロフ→抗争相手のガフニー
C・ヘンリー・ゴードン→グアリオ刑事
エドウィン・マックスウェル→刑事部長
イネズ・パランジ→トニーの母
バート・スターキー→弁護士のエプステイン
ハワード・ホークス監督の演出はよいと思います。
脚本はベン・ヘクト。
近親相姦を肯定するセリフがあったりします。よく検閲されなかったものです。
タイトルバックには大きくXが見えます。
前説があります。これが大げさでハッタリが効いています。
22番通りの酒場にて。パーティの後。
ギャングが3人話しています。2人が帰り親分のルイ・コスティロが残ったとこに殺し屋が忍び込んできます。
電話中の親分ルイ・コスティロは撃たれて死に至ります。直接な描写は検閲されるので間接的に影で描写しています。
死体を発見した従業員の男が逃げてしまうのが人間的でいい。
新聞社にて。
古いタイプの親分ルイ・コスティロがやられてシカゴは戦争になると張り切るデスクです。
床屋にて。
ジョージ・ラフト扮するリナルドとポール・ムニ扮するトニーが登場。
警察のグアリオ刑事がやってきて2人を警察に連行します。
警察にて。
取り調べを受けるトニーとリナルド。何も喋りません。
警察の情報ではルイ・コスティロの用心棒のトニーとなっています。
そのうち弁護士がやってきて放免となります。
ロボのアパートにて。
新しい親分ロボに会いに来たトニー。
カレン・モーリー扮するロボの情婦ポピーが登場。
考えるのはオレだとロボ。実戦派ではないタイプのボスです。
トニーの実家にて。
妹チェスカが気になるトニー。安い男と付き合っているのを見て、トニーはチェスカに要するにまじめになりなさいと説教をかましますが説得力がゼロです。
自宅の外にいるリナルドと知り合う2階のチェスカ。これは伏線です。
ルイ・コスティロの事務所にて。
ロボが手下のトニーを連れてオレがボスだとかまします。
逆らう奴はトニーが痛めつけます。
ビールの注文を取りにセールスに回るトニー。
相棒のリナルドと子分のシショを連れています。強引に売りつけるトニーです。
次はライバルのジーグラの店を爆破します。他を荒らしたりとやりたい放題のトニー。ですがミーハンの店を襲撃したが肝心のミーハンには逃げられたとわかります。
病院にて。
見舞いを装っているつもりなのか花束を持って押し掛けるトニー他2名。病室のミーハンを片づけます。仕事が強引で早いトニーです。
カレンダーがめくるのにシンクロしてマシンガンが連射されるモンタージュがあります。まだトニーはマシンガンを手に入れていないのでは突っ込みたくなりますがまあいいです。
ロボと衝突するトニー。
縄張りのことでノースはまだ早いとロボ。そんなことをしたらオハラが殺し屋を送り込んでくると警告します。
そんなとこで表に出たとこを走り去るクルマからこちら側の仲間キースの死体が放り出されます。ノースからの警告メモ付きです。戦争になるぞということです。
トニーの新築の自宅にて。
電話に出る子分のシショ。秘書と発音出来ないのでシショとなっています。ちゃんとやれと説教するトニー。ここは気を抜くシーンのようです。
ポピーがやって来ます。成金趣味丸出しの家を案内するトニー。
2人が話してるとこで外にTHE WORLD IS YOURSの看板が見えます。
ノース側です。
マシンガンの具合をみるボリス・カーロフ扮するガフニー。
ボリス・カーロフならライバル役には充分のキャスティングです。
レストランにて。
ポピーと会うトニー。口説いています。
そんなとこをマシンガンで襲撃されます。スクリーンプロセスも使っていますが1930年代にしては派手なアクションとなっています。
マシンガンを手に入れるトニー。
旧ルイの事務所、現ロボの事務所にて。
オハラを何でやったと責めるロボ。お構いなしのトニー。
トニーはやり返します。
警察にて。
マシンガンですが規制はありますがザル法で野放し状態となっているとのことです。
戦争状態のマシンガンのモンタージュ。
聖バレンタインの虐殺のシーンもあります。影を生かした描写で撃たれた後にはXXXの描写が入ります。
肝心のガフニーにはこの会合に遅刻して助かっています。
隠れ家のガフニー。
びくついています。新聞記者が取材に来たりします。
劇場にて。
舞台を観賞中のトニー他2名。ロビーにはトニーの手下が大勢いるようです。
ガフニーがボーリング場にいると情報が入ります。
結末を知りたいのでシショに舞台を見るようにと残していくのが面白い。
ボーリング場にて。
ちゃんとボーリングをしているガフニー。何か不自然に見えます。
徐々に周囲を固めるトニー一味です。
ガフニーの撃たれるシーンは直接見せずにボーリングのピンが倒れるモンタージュで処理しています。ピンは倒れガフニーは死に至ります。
パーティにて。
ロボとポピーに会うトニー。チェスカと会うリナルド。
ポピーとダンスのトニーですが、他の男とダンスをしているチェスカを見つけて実家に連れて帰ります。
実家では説教したりドレスを破ったりと大騒ぎとなります。
トニーが実家を出たとこをいきなり撃たれます。
クルマで逃げるトニー。追う殺し屋達のクルマとカーチェイスとなります。マシンガン撃ちまくりに最後はクラッシュとこれまた派手になっています。
床屋に逃げ込むトニー。
電話をかけまくり相棒のリナルドと呼びます。
メイベル、メイジー、リナルドの女です。忙しい男です。
リナルドが来ます。打ち合わせをして床屋に2:10 AMにロボに電話するようにと手配するトニー。
ロボの事務所にて。
トニーとリナルドが入ります。ロボがいます。
例の電話が入ります。ロボが出るが正体がバレてしまいます。
リナルドがロボを片づけます。これでトニーがボスとなります。
ポピーのアパートにて。
トニーがやって来ます。引っ越しをしようとなります。
THE WORLD IS YOURSのネオンが入ります。トニーの絶頂の一瞬です。
旧ロボの事務所で現カモンテ事務所にて。
チェスカがやって来ます。リナルド話し込みます。これも伏線です。
新聞記者にて。
風向きが変わってきたとこのことで、トニーに捜査の手がと下降線を描く
旅行中のトニーが街に戻ります。
実家にはチェスカはいない。母親から事情を聞きます。
チェスカのアパートにて。
ピアノで歌うチェスカです。リナルドがいます。
訪ねたきたトニーがリナルドを撃ちます。
放心状態のトニー、チェスカは去ります。
トニーにリナルド殺しで逮捕命令が出ます。
自宅に戻るトニーですが戻ったとこで警官隊がやって来ます。
シショは撃たれるが最後の勤めを果たし死に至ります。
チェスカもやって来ます。
警官隊は続々とやって来て周りは固められます。
撃ち合いとなりますがチェスカは被弾して死に至ります。
相棒を失い忠実な子分も失い妹も失って命乞いをするトニー。手錠は嫌だと表に走り出たところをマシンガンで蜂の巣にされて死に至ります。
THE WORLD IS YOURSのネオンが入りエンドとなります。
これが犯罪は引き合わなくて悪事を働いた者の末路の描写になるのかは疑問の残るとこです。ヒロイズムを刺激する方が大きいのではとなります。
ポール・ムニは力演しています。この強烈なキャラに合っています。
ジョージ・ラフト演じるいつもダブルのスーツのリナルド。コインを投げ上げる仕草は『トムとジェリー』等のアニメでも取上げられるほど有名です。
アン・ドボラクはエラク色っぽい。これで18歳?1930年代にしたらこれは凄いことです。リメイクの妹より色っぽい。これなら実の兄でも惚れるだろうなと納得出来ます。
そんなわけでさすが名高いだけはある傑作です。
ブライアン・デ・パルマ監督、アル・パチーノ主演のリメイク『スカーフェイス』(1983年)はこの作品はホトンド同じに作られているようです。アル・パチーノがオリジナルに負けずと力演しています。
『暗黒街の顔役』(1932年)を見ると邦題が似ている『暗黒街の弾痕』(1937年)も見たくなります。
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