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2005.07.07

『暗黒街の弾痕』

この作品はフリッツ・ラング監督とシルビア・シドニー主演の最初のボニー&クライド物です。前から見たかった作品で期待して見ました。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1937年 IFR/インターナショナル・/ウォルター・ウェンジャー・プロ アメリカ作品
ランニング・タイム◆87分
原題◆You Only Live Once
プロット◆訳あって死に至る2人の話しのようです。
音楽◆アルフレッド・ニューマン
IVC発売のDVDにて。画質は結構よいです。

キャスト
シルビア・シドニー→ヒロインのジョー
ヘンリー・フォンダ→不運なエディ・テイラー
バートン・マクレーン→国選弁護人のウィットニー
ジーン・ディクソン→ヒロインの姉のボニー
ウィリアム・ガーガン→ドーラン神父
ジェローム・コーワン→医者のヒル先生

フリッツ・ラング監督の演出はよいと思います。
製作がウォルター・ウエンジャーでした。『駅馬車』(1939年)、『海外特派員』(1940年)等結構いい作品がある人です。

邦題からヘンリー・フォンダが『暗黒街の顔役』(1932年)のポール・ムニみたいにマシンガンを撃ちまくる作品と思い込みそうですが、そうではなくシルビア・シドニー主演のメロドラマに近い作品です。タイトルでもシルビア・シドニーの方がヘンリー・フォンダより上になっています。もちろんフリッツ・ラング監督らしい光と影のコントラストが効いたシーンがたくさんあります。

プロローグ
法律事務所の秘書をしているシルビア・シドニー扮するジョーが登場。八百屋の苦情を聞いています。お巡りがリンゴを毎日かすめていくとのことです。このシーンの終わりにその実例が描写されています。

ジーン・ディクソン扮する姉に結婚を反対されるジョー。
どうやら姉の夫がバートン・マクレーン扮する国選弁護人のウィットニーでジョーはその秘書で働いているようです。

ヘンリー・フォンダ扮するエディ・テイラーが出所します。
ウィリアム・ガーガン扮するドーラン神父にあいさつします。他の連中にもあいさつされています。無期の男にまたなと言われていたりします。
出迎えのジョーと格子越しにキスをしています。

新婚旅行の2人。
離れられないカエルの話しが出ます。
犯罪実話雑誌を購読している宿屋の主人に気付かれて宿屋を追い出される2人。
犯罪実話雑誌は日本にはないみたい。あってもいいと思えますが。普通の週刊誌が替わりになっているようです。

アジャックス運送に勤めるエディ・テイラー。
家を見る2人。
ガソリンスタンドに寄ったとこで会社に電話をかけるようにと言われたので連絡をとったら首と言われるエディ・テイラー。
そうしないと話しは進みませんが、そもそも偏見を持ってる雇い主がいる変な仕事先を紹介したから冤罪へとなってしまったようです。

ムショ仲間のアパートにて。
エディ・テイラーのイニシャルE.Tの帽子のクローズアップショット。
電話がかかって来ます。もう引っ越しているジョー。こまるエディ・テイラー。

雨。銀行にて。
怪しいクルマに寄るカメラ。シェードのすき間から覗く眼のクローズアップショットが印象的。
E.Tの帽子のクローズアップショット。
ガスマスクをしてガス弾を投げ込み仕事にかかります。マスクをしているので顔はわかりません。
そんなこんなで現金輸送車を奪い逃走しますが雨の山坂道に入ったとこでオフの効果音だけで転落したと描写されています。

雨。2人の新居にて。
エディが逃げてきます。新聞には現場に残されたE.Tの帽子からエディが犯人と載っています。逃げようとするエディですがジョーに説得されてちょうどやってきた警察に投降します。

新聞社にて。印刷所です。
新聞の1面見出しのシーン。最初はエディ・テイラー無罪と見出しが出ててこれはよかったなと思ったら、カメラはゆっくりと後退して、無罪、評決出ず、有罪の3つの見出しを並べて評決を待っている新聞印刷所となります。
で、連絡が入り今度は3つの見出しの1つ有罪にカメラを寄っていき結果が判明します。アイロニーがキツイ。説明セリフは使わずにショットで描写しています。これは凄い。
ホントに銀行強盗をしたわけではないようです。最初はホントにやったのかと思ってしまったほど帽子を使った描写が上手。見事にだまされた。

取材と称するマスコミの前にて引き回しの刑となるエディ・テイラー。
これはいつでもどこでもある風景です。マスコミの下劣さがよくわかります。

面会でジョーに拳銃を要求するエディ。
次の面会で金属探知器が反応してベルが鳴り響きます。ここはドーラン神父が助けてくれます。でも拳銃を取上げられます。ドーラン神父は人が単にいいだけではないようです。

死刑間際のエディ・テイラー。
格子の影が放射状になっているショットがありました。
食事を持ってきた男からメモを渡されます。病練のベッドに拳銃が隠されているとのことです。
自らケガをして病練に移されるエディ・テイラー。このシーンもいい。
病練にて、ベッドに隠されたハンドガンを取ろうとエディ・テイラーの顔のアップと探る手のカットバックがいい。
医者のヒル先生を人質に逃げるエディ・テイラー。
霧の中で脱獄するとこ等がフリッツ・ラング監督らしいシーンです。
交渉にウォーデン所長を指名するエディ・テイラー。
この時に緊急のテレタイプが入ります。行方不明の現金輸送車が発見されてエディ・テイラーの無罪が確定となり死刑中止で恩赦となるとのことです。
銀行強盗の連中は人のせいにしていて勝手に行方不明になっていたりとホントにしょうもない連中です。

ドーラン神父が説得に向かいます。証拠のテレタイプを見せますがエディは信じず撃たれるドーラン神父。
ドーラン神父は門を開けるように指示してから死に至ります。

ジョーにエディから電話が入ります。
姉夫婦に止められても会いに行くジョー。
貨車の中のエディと会うジョー。

クルマで移動中の2人。
こうなったのも私のせいだと一緒に逃げようと言うジョーです。
5000ドルの賞金が付きます。
2人にガソリンを盗られたガソリンスタンドの従業員が盗まれてもいないレジのカネまで自己申告します。アイロニーがキツイ描写です。
そんなこんなで10000ドルの賞金になります。
子供が生まれます。ホントか?

子供を姉夫婦に預けるジョー。
船でハバナに逃げなさいと姉夫婦は勧めるがていねいに断ってエディと国境を越えることにするジョー。

国境を目指す2人。
タバコの自販機から足がつきます。ここが少々長めでくどい。描写に念が入り過ぎています。

国境を前に唐突に警官隊から銃撃されます。
ラング監督は『M』(1931年)『恐怖省』(1944年)等、唐突で簡潔なラストが特徴と思ってますがこの作品でもそうでした。それにしてもこのラストは不思議な感じでした。撃たれたヘンリー・フォンダに聞こえる「エディ、君は自由だ・・・」のセリフ。あのままでは救いがないからと製作のウォルター・ウエンジャーに無理やり付け加えさせたにしても凄い感じ。安っぽい救済処置になっていないのがいいところです。
アルフレッド・ヒッチコック監督が『レベッカ』(1940年)で製作のデビッド・O・セルズニックにラストは燃えたマンダレーの屋敷の煙でレベッカのRを描けと無理を言われてそれをレベッカのベッドの枕カバーの刺繍Rが燃えるシーンに転化したというエピソードと同じなのかもしれません。同じだとしたらやっぱり才能のある人達は違うんだと納得する。


ヒロインのキャラのバランスを取るために脚本は細心の注意で書かれているようです。ですが何でシルビア・シドニーのヒロインがそれほどまでつくすのか?それはヘンリー・フォンダが演じているからです。これが1番説得力があったりします。
この2人に感情移入させるには結構大変な感じがします。やたらと凶悪にするわけにもいかず無知で愚かにしてもいけないし難しいとこです。脚本の腕の見せ所です。
始めの方で蛙のたとえで片方だけでは生きられないとしてました。話しが進むにつれてこれが効いてくる。

不幸なキャラのヘンリー・フォンダ。どのくらい不幸かというと後にフォンダ本人がダリル・F・ザナックに7年契約をかまされたくらい不幸です。


シルビア・シドニーは1936年にアルフレッド・ヒッチコック監督の『サボタージュ』(1936年)に出ています。それで次の年の1937年にはフリッツ・ラング監督の『暗黒街の弾痕』に出ているわけです。凄いキャリアです。
ジャネット・ゲイナーが1927年にサイレント映画のメロドラマの傑作2本『サンライズ』(1927年)『第七天国』(1927年)に同時に撮影していたと同じぐらいの凄いキャリアだと思います。


おかしな話ですがラストのセリフ「エディ、君は自由だ」に涙が出ました。きれい事だと言われそうですが私はこの方がいい。
私はいままで泣いた作品は『探偵物語』(1951年)と『曾根崎心中』(1978年)2本しかありません。実際そんなものです。
そんなわけで期待して見て期待通りの作品でした。


『暗黒街の弾痕』(1937年)を見ると邦題が似ている『暗黒街の顔役』(1932年)も見たくなります。


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