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2005.07.25

『エネミー・ライン』(2001年)

この作品はジョン・ムーア監督、オーウェン・ウィルソン主演の巻き込まれ脱出物戦争アクション映画で戦争映画ではありません。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2001年 デイビス・エンタテインメント/20世紀フォックス アメリカ作品
原題◆Behind Enemy Lines
20世紀フォックス発売のDVDにて。画質は非常によいです。ドルビーデジタル5.1chバリバリの作品となっています。
プロット 戦場を逃げ回る話しのようです。
音楽 ドン・デイビス

キャスト
オーウェン・ウィルソン→クリス・バーネット大尉
ジーン・ハックマン→レイガート少将
ホアキン・デ・アルメイダ→政治屋のピケ中将
デビッド・キース→副官格のトム・オマリー
ガブリエル・マクト→パイロットのスタックハウス
ウラジミール・マシュコフ→セルビアの追跡者サシャ

ジョン・ムーア監督の演出はよいと思います。
ユーゴスラビアが舞台のようですが近未来の設定なのですか。見ててそんなことに気がつきませんでした。
サスペンスとアクションの2本立てで全編ハイテンションで引っ張っていました。たいしたものです。主人公1人だけで反撃しないで逃げるだけという設定がいいのかもしれません。
ノンストップな話しになっているのもいい。
ワイドスクリーンで見ると人物1人での空間の空け方がいい。真ん中ではなくどちらかに寄せているのがいいのです。


本物の空母カールビンソンが登場しています。ところで日本語では空母と言い飛行機の帰る母なる場所と何となく神秘的?印象がありますが英語ではAircraft Carrierとなり単なる飛行機の運び屋です。随分と印象が違ってきます。

転職希望のオーウェン・ウィルソン扮するクリス・バーネット大尉はジーン・ハックマン扮する上役レイガート少将の嫌がらせ?でクリスマスの日に偵察飛行を命じられます。
空母からのF-18ジェット戦闘機の発進シーンは定番の描写です。こういうのは何回見てもかっこいいと思えてしまいます。いい宣伝になってます。
何故か重そうに飛んでいるF-18ジェット戦闘機です。私にはそのように見えました。

バーネットの思いつきで偵察飛行のコースを外れてカメラで撮影したとこでセルビア軍から地対空ミサイル攻撃を受けます。
ミサイル発射のシーンは何となく『続・夕陽のガンマン』(66年)のクリント・イーストウッドがイーライ・ウォラックを向かって大砲発射のシーンのように見えてしまった。装填測的等の面倒な描写はカットしてスイッチを入れて発射の描写だけを強調するとこが映画的です。いいとこだけを見せるわけです。もしかしたら引用なのかな。
悲鳴のような音を立てて迫るミサイルはいい絵です。

ここのミサイルとF-18ジェット戦闘機の攻防シーンは前半のハイライトといったとこです。CG全開と見事な編集で色々なディテールまで描写してくれます。クローブアップショットの1つ1つまで意味があると思えますがそこまではよくわからんというのが正直なとこです。

セルビア軍の将軍はミツビシの4WDのパジェロに乗って登場。
ペトロビッチ将軍?、副官に、1の子分のジャージ姿の男。このジャージ姿の男を演じる俳優はいい。

撃墜されてパラシュートで脱出したとこでパイロットは負傷。
連絡を取るためにバーネットが離れたとこをセルビア軍が押し寄せてパイロットは処刑されます。
それを見ていたバーネットは思わず声を出したとこでジャージ姿の男に見つかり集中砲火を浴びて必死で走って逃げます。このシーンはいいです。声が聞こえたわけでではなく気配を感じたという感じなのがいいのです。

逃走中にようやく一休みしているとこをいきなり狙撃されるバーネット。
銃声より先に弾丸が飛んでくる遠距離狙撃の描写がありました。これは以前から見たかったシーンなのでよかったです。弾丸が当たったら銃声を聞くこともなく死亡することになります。

バーネットが必死で逃げて穴に落ちたとこをカールビンソン内の情報部で他国の衛星カメラをハッキングして見ています。これは今風な描写です。
穴というか大きなくぼみの中は処刑された一般市民の死体が一杯で気絶したバーネットは死体に紛れてしまい見つからずにすみます。運がいいバーネット。

ワイヤーを張った地雷原に突入してしまうバーネット。
子供達が遊びに来てたりします。親が迎えに来て何気なくワイヤーをまたいでよけて帰ります。地雷原がごく普通の日常の風景なのだと描写しているようです。

派手に爆発させて地雷原を突破するバーネット。
地雷源で爆破の衝撃がどのように伝わるかのスローモーションのシーンがありました。これもいい。映像には凝りまくりです。

ジャージ姿の男はしつこく追ってきます。
森の中でバーネットが追っ手が迫るを虫の知らせで知る映像化の一例があります。フラッシュバックのバリエーションの手法です。これもいい感じ。
トラックに拾われるバーネット。合流地点の街ハッチに向かいます。このクルマの連中はどっち側?とよくわからん。これが戦争状態なのか?

目的の街ハッチに着いたらここはもう戦闘状態でした。エライとこに来たしまったバーネット。
乗ったクルマがクラッシュする時の編集がまたいい。微妙にダブっているのです。アニメでよくある枚数減らしの繰り返しではなく微妙なとこがいい。
ようやく脱出して合流地点に向かったが目くらましで置いたニセ死体を本物と報道されてしまい。自分が死んだことになり救出ヘリコプターは目の前で引き返してしまいます。

墜落地点に近い巨大天使像にやってくるバーネット。
この巨大天使像は戦争で半壊しています。120メートルあるそうですが映画ではそんな風には見えなかったりします。5〜6メートルぐらいかと思っていました。撮り方がイマイチなのですよ。対比する物がないせいもある。
バーネットは射出された座席に付いているビーコンを作動発信させ救出を待つ。発信は敵側にもわかってしまうけどそれはしょうがない。

ラストは予定調和でした。こうしないと商業映画にならないけど、もう少し何とかならないかと思えますがしょうがないですか。
ヘリコプターはかっこよく撮れています。ヘリコプターは1970年代のアメ車と並ぶ映画向きの乗り物です。


オーウェン・ウィルソン扮するあまりやる気の無いバーネット大尉はゴキブリ並みにしぶとく、逃げ足だけは速い。そのようなキャラクターになっているようです。結構好演していました。
この人は『アナコンダ』(97年)に出ていたのですか。全然気がつかなかったりします。金髪のアホな男役が定番だったようです。

セルビアの追跡者ジャージ姿の男サシャの最後をあっけなかった。
時間がきたので退場しましたといった感じ。それなりに間抜けには見えないよう描写はされていたようです。

政治屋のピケ中将を演じるホアキン・デ・アルメイダは嫌みな上役キャラを上手く演じています。嫌みになり過ぎないとこがいい。独立系作品専門の俳優と思っていたけどこの作品では大スター ジーン・ハックマンの上役とは出世したものです。
もしかしてフレッド・ウォードかジェフリー・ラッシュと契約出来なくて似た感じルックスでギャラが安そうなホアキン・デ・アルメイダになったのかもしれません。
副官格のトム・オマリーを演じるデビッド・キースは白人でした。黒人なのではと一瞬思ったがそれはキース・デビッドでしょう。紛らわしい名前です。


お話のほうはともかく編集に関しては傑作です。『トップガン』(86年)の同じお気楽戦争物だと思ったけど全然違っていました。
そんなわけでお気楽な点はありますが凝りまくりの編集のアクションがよい作品でした。


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