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2005.07.18

『ロボコップ3』(1993年)

この作品はフレッド・デッカー監督のロボコップシリーズ3作目です。少し見たら出来がいいので全部見ました。
このシリーズですがポール・バーホーベン監督の1作目『ロボコップ』(1987年)は文句無しの出来です。2作目はあまり見る気はしなくて。この3作目は意外と出来がいいです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1993年 オライオン・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆105分
原題◆RoboCop 3
プロット◆地上げに対抗する話しのようです。
音楽◆ベジル・ポールドーリス
ソニー・ピクチャーズ発売のDVD画質はよいです。

キャスト
ロバート・ジョン・バーク→ロボコップのマーフィ
ナンシー・アレン→警官のアン・ルイス
ジル・ヘネシー→マリー・ラザレス博士
レミー・ライアン→子役の二コ
CCH・パウンダー→抵抗派のバーサ
スタンリー・アンダーソン→抵抗派リーダー格の帽子の男ザック
スティーブン・ルート→抵抗派で内通者のクーンツ
ロバート・ドキュイ→警察のリード警部
ジョン・キャッスル→リハッブ隊のポール・マクダゲッド隊長
マコ(マコ・イワマツ)→カネミツ商会会長
リップ・トーン→オムニ社CEO
フェルトン・ペリー→オムニ社黒人幹部ジョンスン
ブラッドリー・ウィットフォード→オムニ社保安幹部フレック
ブルース・ロック→カネミツ製の忍者ロボット オートモ
ジョン・ポージー→二コのパパ デビッド
ジョディ・ロング→二コのママ ケイコ

フレッド・デッカー監督の演出はよいと思います。
この作品はキャラクターを人種、性別、年齢で差別していません。よい意味で近未来してます。
子役が嫌味に見えない。これはいいです。

引き続きデトロイトが舞台です。
デルタシティのTV CFからニュースとなります。
カネミツ紹介とオムニ社の関係について。

始まってすぐに『裏窓』(1954年)と同じカメラの動きだけで状況を分からせる手法で子役ヒロインのニコを紹介してた。この手法が使えるとはなかなかやるじゃない。
そのカメラワークでキャラ紹介から強制立退きのシーンからタイトルが出ます。ここはホントにRoboCop 3のタイトルのみです。

悪役のジョン・キャッスル扮するリハッブ隊のマクダゲッド隊長やCCH・パウンダー扮する抵抗運動家のバーサはすぐに登場しています。
ぎょろ目の黒人女優CCH・パウンダーは熱演しています。

強制立退きから親子生き別れの図となります。
リハッブ隊とはオムニ社が雇っている傭兵軍団です。

二コを拾った抵抗運動家達は黄色いワンボックスバンで武器を調達に武器庫を侵入しようとします。デジタル表示の爆弾を使用しています。
ガードロボットED-209が鎮座してて動きが取れなくなりますが二コが思わぬ才能を発揮してED-209をコントロールして難を逃れます。武器を調達してついでに後になってロボコップの飛行装置とわかる物を持っていきます。
逃げる際に警官隊に囲まれますがコントロールされたED-209で脱出します。二コがいなかったら全滅しているとこでした。

ここでナンシー・アレンが登場して黄色いワンボックスバンを追跡します。パトカーに使用しているクルマはフォード・トーラスのようです。信号を変えられてクラッシュとなり追跡は中断となります。

パトカーに乗ってロボコップが登場。引き継いで黄色いワンボックスバンを追跡します。
ロボコップ追跡中止はスマートな描写。冒頭でをロボコップが抵抗運動家達を追跡します、ここで抵抗運動家達がやられたら話しが進まないし、逃げ切ってしまったらロボコップが無能に見えます。ロボコップの追跡中止が同僚救出のためなら自然です。上手いエクスキューズの付け方です。

ナンシー・アレンの方はパンクな一隊に襲撃されてロボコップに救援を求めます。ロボコップは追跡を中断して救援に回ります。
パンク軍団は火炎瓶等で武装しています。もちろん銃をあります。火炎瓶はある年代にはうけるかもしれない。

飛んでくる弾丸を素手でつかむことが出来るロボコップ。エイトマンのようです。
ロボコップがクルマに乗り込むとこは編集で上手く省略してた。

カネミツ商会会長がオムニ社CEOに日本語で小言の図。
日本語のセリフが出てきて「・・肥満で怠慢だ・・」と韻を踏んでます。アメリカ映画でこんなに凝ったセリフは初めて聞きました。これは演じるマコ・イワマツのアドリブでしょう。
この日本語がまともなのです。ハリウッドの日本描写にしては非常に珍しい例となっています。
後4日で地上げを完了せよと期限を切っています。

TVシリーズ『ウルトラセブン』(1967年)での『ウルトラ警備隊西へ』に出ている京都国際会議場がカネミツ本社として登場。
もしかしたら無断借用かも知れません。ここは出来合いの普通のビルか妙な日本趣味で五重の塔あたりをカネミツ本社にしてもおかしくないからこのセレクトは通好みとなります。
忍者ロボットのオートモが登場。

警察にて。
ジル・ヘネシー扮するロボコップのメンテ担当のマリー・ラザレス博士登場。
オムニ社保安幹部フレックは会社内では低姿勢だが警察相手にいきなり偉そうにするとこが人間的でした。

ロボコップと警官のアン・ルイスがいる教会にリハッブ隊が強制立退きにやって来ます。
ここでナンシー・アレンの警官アン・ルイスは唐突に退場となります。泣かせるシーンもあります。
ロボコップは第4のプロンプト、オムニ社に逆らうなの制限があってリハッブ隊を制圧出来ません。ダメージを受けることになります。
教会から地下道に逃げる抵抗運動家達とロボコップ。ここでうるさい男やリーダー格の帽子の男等がいます。

TVニュースはオムニ社の大本営発表の場となっています。
洒落になっていないような。現実の日本でもこの状態に近いです。NHK大本営ニュースだけが事実で他はそうではないとなっています。

二コがロボコップのメンテ担当のマリー・ラザレス博士を捜しに警察に行きます。ニコが博士とコンタクトするときのパスワードになったロボコップの伝言「記憶を消さないでくゃてありがとう」はいいセリフで決めます。このシーンはいいです。

教会からの地下道にやって来るオートモ。
残っている3人を男を相手にアクションとなります。顔が変形しているのは何なんだ。
オートモの描写は勘違いはあるけど極力カッコよく描こうとしてるのはいいと思う。それにしても顔面変形はかっこよくないけど。
変な日本刀や殺陣もおかしい。

廃工場が抵抗運動家達の本部となっています。
マリー・ラザレス博士がロボコップを直しに抵抗派本部の廃工場にやってきます。クルマのドアが開くとニコが登場して味方かと緊張が無くなるシーンもいい。
ロボコップ修理のシーンとなります。ロボコップの主観ショットの使い方がいい。
記憶が戻るとこ等は今時は珍しい突然フラッシュバックを使っていた。
ワイフ→ナンシー・アレン→ジル・ヘネシーとモーフィングで処理してました。
主観カメラを使って修理の図は上手い。修理時間の省略も兼ねてる。
再起動でのプロンプトでオムニ社に服従する云々の4番目を削除する。これも洒落てる。
修理完了となります。
偶然にもロボコップ飛行装置があったりします。

ニコの両親のことをメモリーで検索するロボコップ。
両親は帰らぬ人になっていることを描写して、そのリアクションのロボコップのセリフ「・・いつも心の中に・・」と言う。このシークエンスは素晴らしい。これでロボコップもやっとエイトマン並みなりました。
原作でのエピソード『魔女エスパー』でエイトマンは相手から「エイトマン、私を許してね・・」となっています。果たしてエイトマンに相手を許せることが出来るのだろうか。私は出来ると思える。

ガソリンスタンドで地図を調達するオートモ。
派手にやっています。

修理完了からリハッブ隊を片づけに警察に行くロボコップ。
警察内の手下達を片づけてからホテルにいる隊長を探しに行きます。
内通者のクーンツが居たので躊躇したとこを隊長に逃げられます。クルマで逃げる隊長をピンクのクルマを借りて追跡します。
カーアクションと撃ち合いがあります。この結末はカネをばらまいてロボコップの足止めをして隊長は逃げ切ってしまいます。この落ちはいい。。アイロニーが効いてる。この隊長は口だけでなく結構タフで、天晴れな悪役でした。

抵抗派本部の廃工場がリハッブ隊の襲撃を受けます。

バッジを捨てる警官達の描写があります。
すぐさまパンクな連中を傭う隊長です。立ち直りが早い。

リハッブ隊のTV CFからニュースとなります。
大本営ニュースを耐えられないキャスターの描写があります。

キャデラックハイツを期限までに守れば何とかなるとなっています。そんなわけで加わった警官隊と抵抗運動家とリハッブ隊の対決となります。
戦車まであるリハッブ隊に苦戦しています。

人の居なくなった本部の廃工場でオートモと対決するロボコップ。
何とかやっつけます。ここは少しアイデアが足らないような。

オムニ社で拘束されているとこからTVをハッキングして証言するマリー・ラザレス博士。このへんは話しが理想的に展開しています。

飛んで助けに来るロボコップ。
いまいましい戦車を1発で破壊してくれます。スカッとします。

飛んでオムニ社に向かうロボコップ。
悪役の隊長の終りが少しあっけないような感じです。
リップトーンは面白いキャラをしています。
で、ラストの妙なシーンとなります。カネミツ会長のお辞儀でしめる。これはよく分からん不思議な描写だ。

ジョン・キャッスル扮する悪役のリハッブ隊のポール・マクダゲッド隊長のセリフ「Oh, by the way」とあるが口調が『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)のレイ・ミランドのようです。
隊長のルックスはテレビ的な感じでした。
ロボコップの追跡をカネを撒いて逃げ切るのはいい。アイロニーが効いてる。この隊長は口だけでなく結構タフで、天晴れな悪役でした。


そんなわけで多少話しの展開に?がつきますが面白い。これは佳作だと思います。
それにしても何でIMDbの評価が低い?不当な評価だと思います。3作目という偏見がなければいい出来なはずなのですが。


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コメント

どうも初めまして。ロボコップシリーズ好きとしては、こち
らのロボコップ3の丁寧なレビューを嬉しく思いましたので
書き込みさせて頂きます。本当にimdbでは何故か評価がすこ
ぶる低いのですよね~。僕も3は全2作ほどの悪趣味でブラ
ックユーモアの効いたバイオレンス描写こそないものの、き
ちんとアイロニックな企業CMやセリフを入れていて、それ
でいて子供向けに作られているのだから上出来だと思うので
すが。ヒットはしなかったようですが、当時は日本でも子供
向けに宣伝されていた事を、物心ついた頃のことですが覚え
ています。1作目はモロ、キリストの受難と復活の話をベー
スにしていることが監督の口から明らかにされていますが、
3も上手く現代の救世主の話に仕上げられていますし、カー
チェイスのシーンは本当に見事で、マットブラックのパトカー
や荒廃したデトロイトの町並み、機動隊のような装備の警察官
などは近未来映画のお手本と言ってもいいと思います。
日本企業の描写も悪くないと思います。当時の日本企業は既に
あれほど勢いがなかったはずですが(笑)チンチクリンなもの
として描かれなかったのはマコさんの箴言のお陰なのかもしれ
ませんね。ただオートモのアクションと、ロボコップとのバト
ルシーンはもうちょっとリアリティーのあるものにする工夫が
必要だったと思います。バトルが緩慢すぎて、オートモの能力
の高さがアピールできていないですね。それとマコさんの「君
らアメリカ人は、本当に無能だな!君らは肥満で、怠慢だ!」
というセリフは同じく最高だと思います(笑)
そんなわけで、惜しい部分もありますが、世界観良し、カーアク
ション良し、女優良し(ルイスと女博士)、ブラックユーモア
良し、ラストの飛行シーンもカタルシスがあって良し、なので
僕はこの作品かなり好きです。

MilkBowieさん、長文のコメントありがとうございます。
この作品の低評価ですが、こういった場合は実際に見て批評して欲しいといつも思うのです。

私は京都国際会議場がカネミツ本社として登場がお気に入りだったりします。


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