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2005.07.27

『東京オリンピック』(2004年)

この作品は市川崑監督の1964年東京オリンピックのドキュメンタリーです。
1965年作品を再編集しての2004年版です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1965年/2004年 東宝 日本作品
ランニング・タイム◆148分
プロット◆1964年の東京オリンピックのドキュメンタリーです。これがホントにドキュメンタリーなのかという疑問もあったりします。
音楽◆黛俊郎 行進に使われているマーチ音楽が1番よかったりします。黛俊郎のスコアはそんなに悪くはなくまあまあです。けっしてよくはない。これなら伊福部昭でよかったのではと思えますが伊福部のスコアは個性があり過ぎなので無難な感じの佐藤勝でもよかったと思えます。

東宝発売のDVDにて。オリジナルではなく40周年記念市川崑ディレクターズ・カット版148分の方を見ました。もちろんオリジナルの170分版も見ています。
ところで私はリアルタイムで東京オリンピックを見た記憶はありません。
画質はフィルムの質感での非常によい画質です。ドルビーデジタル5.1ch版で見ました。この出来は手堅い感じでいいです。音楽もステレオでしかも5.1chです。


キャスト
キャスティングは関係ありません。ドキュメンタリーだからです。ですがこれがドキュメンタリーと言えるのか?と言う作品です。

市川崑監督の演出はよいと思います。ドキュメンタリーですがしっかりと演出されています。
ナレーションは複数で担当しています。主にNHKのアナウンサーです。
編集のセンスはいい。編集は基本的な原則はありますがマニュアルがあるわけではないと思えます。それで細かくカット割りをすればいいというわけではありません。要するに後は編集する人のセンスにかかっています。
クローズアップショットを多用しています。フルショットと組み合わせて最大から最小へといった感じとなっています。
スローモーションも多用しています。
効果音は全編に渡り後付けになっているようです。センスのよさから東宝特撮陣のスタッフが協力しているかも?
競技が終わると溶暗となります。
マラソンに限らず出場各選手の本業についてしつこく紹介しています。オリンピックはアマチュアだと強調しているようです。でも当時でもアマチュアというわけではなかったと思えます。現在ではアマチュアな選手は存在していない全く違う状況になっています。

この作品は決してわかりにくくはありません。そんなことを言った当時の政治屋のお偉方がいたそうです。名前なんて忘れ去られています。

プロローグから面白い。
建物解体用の鉄球のスローモーションのショットから日本得意の建設のシーンとなります。出だしから素晴らしい。
タイトルとなります。都電が交差しているのが印象的。

聖火リレー。
太陽のショット。
今は亡き映画ではおなじみのパンナムの旅客機でアメリカの選手団が到着します。ナレーションでは外国の人と称してます。外人とは言ってません。
富士山のすそ野を左から右へと走る聖火ランナー。絵になり過ぎで、これは後撮りなのでしょう。

旗竿の紐が風に鳴って、紐の金具が旗竿に当たって甲高い音を立てます。この効果音は後付けなのでしょう。これは上手い。
全編に渡りこの旗竿音は使われています。

開会式。
国立競技場の定員は71715名。電光掲示板のシンプルなこと。
一般大衆のクローズアップショットも多く使われています。あまりみっともないショットがないのが日本人監督らしい気遣いを感じます。これが外国人監督ならどんな姿でも情け容赦なく大画面に写されることになります。
選手達を8mmカメラで撮る人達のショットも多くあります。当時の最先端のアイテムです。今は無くなっているフォーマットです。
14:00から選手入場となります。先頭はオリンピック発祥の国ギリシャで後はアルファベット順に入場しています。最後に開催国の日本となっています。
アルファベット順というと韓国の先頭文字をCではなくKにしたのは日本のJの後に来るようにの陰謀だったという説もあるらしい。単なる与太か?
行進では靴のクローズアップショットが使われています。
まだ東西分割だったドイツは統一で参加しているようです。
U.S.Aの次がU.S.S.R.となるわけですか。妥当?な順番なのか。
アルファベット順の最後がVのベトナムで、開催国の日本がアルファベット順から外れてラストに入場となっています。

祝砲で155mm砲が発射されます。耳を塞ぐ子供のショット。これもやらせか?
風船が飛んだとこで360度の回るカメラのショットとなります。
鳩が飛びます。ジョン・ウー監督作品ではない。
聖火が点火された時に焼き鳥になった鳩はいないようです。それは1988年に韓国でオリンピックが開催された時のことです。
F86ジェット機が飛んで青空に五輪を描きます。これはスペクタクルな光景です。見事です。

男子100m走。
スローモーションがあります。

男子走り高跳び。
まだ背面跳びではありません。時代を感じさせます。

男子砲丸投げ。
投げる前に同じ動作を繰り返します。投げるリズムを掴むのに必要な動作なのでしょう。音楽とシンクロして砲丸球が地面にめり込むクローズアップショットがあります。

女子砲丸投げ。
ストップモーションもあります。

男子棒高跳び。
棒が接地するクローズアップショットがあります。
7時間もかけて競技をしているとのことてです。
最近では棒高跳びといえばブブカが1cm刻みでギャラはどのくらい上がるのか?とたんまりと儲けていた話しを聞いたような。これも与太か?

雨です。水滴のクローズアップショットがあります。
男子ハンマー投げ。
モノクロ。投げられたハンマーが地面にめり込むクローズアップショットがあります。スローモーションも多用。

男子10000m。
円谷幸吉も出場しています。最終的には圏外のようです。
400mのトラックを25周して10000mとなるようです。
見事な追い込みで劇的なレースになっています。確かこのネタだけで映画が出来ている筈です。

女子走り高跳び。
この競技をしている選手をは最高に美しいと思えます。体形が美しいのでルックスも美しくなっています。今のユニフォームがタイトなのもバーに接触してはいけないからと説得力があります。


競技の合間にニュージーランド名物のウォークライが見られます。このダンスのようなものはラグビーの試合だけでやるわけではないようです。


男子三段跳び。
日本が初めて金メダルを獲得した競技です。

女子800m走。
英国のランナーの笑顔。以前に毎日新聞のコラムでこのことが載っていて、この女子ランナーがトップがゴールインする手前で横を見て自分がトップなのを確認して笑顔を浮かべた。となっていました。
ホントにそうなのかと見ると、この女子ランナー名前はバッカー。ファーストネームはわからず。ゴール正面からの高速度キャメラでゴールインした時に初めて笑みを浮かべてました。その通りでした。

男子400mリレー走。
バトンの受け渡しをスローモーションでやっています。ありがちですが上手い。

プレスセンターにて。
オリベッティがオフィシャルスポンサーのようです。使われてるはまだワープロではなくて本物のタイプライターです。各国の文字を打ち出すタイプライターのショット。1本指打ちが多い、両人さし指だけで打っています。

男子走り幅跳び。雨です。
スポンジでグラウンドの水を吸い取っています。

女子80mハードル走。
日本人選手が風変わりです。依田郁子。マスコミに嫌われそうなタイプです。
スローモーションあり。効果音無しでハードルを倒した時だけ音が入ります。このセンスはいい。

女子体操。
これは黒バックなのでわかりますが後撮りだそうです。ハイスピードカメラ多用。女子体操選手が美しいのでそうしたくなるのはわかります。
途中から男子体操も混じります。アクセントにはなります。
効果音も後付けのようです。衣擦れから床や鉄棒に擦れる音。鉄棒大回転での風切り音?等、色々と付けています。

水泳です。
男子100m自由形。
女子100m背泳。◆スタートを俯瞰で撮っています。
男子400mメドレー。
女子100m自由形。◆普通の水着がいい。
水泳のことで。特に女子水泳の場合。泳がない時に注目すれば、スケベだオタクだ変態だとなって。泳いでいる時は顔は見えないし正直言って何がいいのか悪いのかポイントががわからん。泳いでる姿も水が邪魔でよく見えないし要するに面白くない。で、競技が終わればすぐにタオルやガウンを羽織ってしまい、また注目するとスケベだオタクだ変態だとなります。そんなわけであまり面白くない競技です。
飛び込みの方がまだいいような感じがします。飛び込む直前なら注目してもいいだろうし緊張感ある表情が見れますしダイビングの最中は何がどうなっているかわかやすいしとなります。

男子重量挙げ。
3種類の上げ方のレクチャーがあります。
上げて認定されてからバーベルを下ろす時の効果音が印象的です。ズドンと豪快な音です。

女子フェンシング。
競技中の掛け声と競技終了でマスクを外すとこがいい。マスクで顔を隠しているのがもったいない。現在は顔が見える透明プラスチック製なのかな。わからん。→よく考えたら視線が相手に見えたら別の競技になってしまいそうなので透明はないでしょう。
確認ランプのクローズアップショットがあります。このセンスもいい。

男子柔道。
会場は武道館です。
無差別級でオランダのヘーシンクが出ています。かかって来なさいといった構えから試合が始まれば力強い技と無駄のない動き、強過ぎです。

男子射撃フリーライフル。
よくわからん競技です。6時間で、120発を、300mの的を撃つ競技のようです。

自転車。
八王子が会場とのことです。
これは自転車の通り過ぎるショットが美しい。スピード感がいい。
自転車より見物している人達を撮っています。
転倒シーンがありますが、転倒そのもののショットはなく転倒直後のショットになっています。その前に後付けで転倒の効果音を入れてシーンを作り上げているようで。上手いじゃん。

男子サッカー。
効果音は後付けで付けまくりとなっています。

乗馬。
乗馬というと選手選考を巡る内紛ですか?。これは2004年アテネオリンピックの日本代表選手選考の時事ネタです。

ホッケー。
インド対パキスタンならクリケットだと思えますがそうではありません。クリケットの方が盛り上がりそうですけど。

女子バレーボール。
スローモーション。俯瞰。色々とあります。
オーバーネットでゲームセットとなります。あっけない。
美智子妃殿下が観戦しています。よく検閲に引っ掛からなかったものです。
表彰台には代表1人だけが上がります。これはおかしいので後には全員で上がるようになったようです。

50km競歩。
ユーモアを強調しています。雨です。
原則としては両足を地面から離してはいけません。見てて面白い競技ではないのは確かなようです。

マラソンです。大会の花。42.195km。
コースは新宿から甲州街道で折り返すようです。折り返し点はアメリカ軍基地の近くのようですから厚木辺りですか?
開始前から主役はアベベです。
国立競技場を出るとこでは激突防止にコンクリートの柱に毛布が巻かれているのが印象的。
円谷幸吉が出ています。この人が3年後に自殺するのかと思うと何となく悲しげに見えます。
給水所の風景。これが結構長めになっています。あまり長過ぎると嫌みなりそうです。途中で棄権する選手のショットも多めにあります。最後尾の選手は伴走車ブルーバード310に追い立てられています。で、倒れてしまい救急車で運ばれます。

アベベは淡々と走ります。走る向き=ディレクションは一応合っています。行きは左へ帰りは右へ走ります。時々おかしな向きもありますがこれは単調になるのを避けるためでしょう。
アベベは走っているだけで絵になっています。

レースはアベベの独走のようです。
2位以下は混戦となっています。後になってわかりますがこれが悲劇なのです。
そんなわけで円谷幸吉は国立競技場に戻ってきて後はトラック半周あまりをもたせばよかったのに最後の直線辺りであっさりと抜かれてしまいす。後ろから来ていることに全く気がついてなかったようです。気がついていたら何とかなっていたかもしれません。誰か教えてやれと思えてしまいます。
でも2位以下なんて忘れ去られてしまうのでしょう。2位だ3位だとあまりこだわらないのがいいとなります。
走り終えた選手達の素足のクローズアップショットがあります。ボロボロになっています。絆創膏を巻いたりしてボロボロになる前の対策をしている選手もいます。

閉会式となります。
花火大会にもなっています。SAYONARAの電光文字。
詩が読み上げられてエンドとなります。

これは傑作です。見始めれば148min.の長さは問題ではありません。でも見る前は結構が覚悟が必要だったりします。
オリジナルより、このバージョンの方がいいと思えます。編集に手を入れたそうですが変更部分はわからなかったりします。
そんなわけでドキュメンタリー云々なんかどうでもいい映画としてよく出来ている作品でした。


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コメント

この作品は封切りで見ました。小学生でしたが,冒頭の鉄球のシーンは凄く印象に残っています。それと,マラソンランナーが立ち止まり,オレンジジュースを1杯以上飲むカットがあったに記憶しておりますがどうでしょう?8mmカメラのことを今は無くなっているフォーマットと書かれていますが,無くなっていません。フィルムは今でも売られています。数多くのビデオフォーマットは無くなりましたが,1932年発売の8mmカメラ第1号機,シネコダック20ですら,現在でも使用可能です。

大野正和さん、コメントありがとうございます。

私はこの作品はTV放映で初めて見ました。東京オリンピックを実際に見た覚えはありません。

オレンジジュースのシーンはあるようです。

8mmフィルムのことは使ったことがないのでてっきりなくなっていると思い込んでいました。なるほど現在でも使用可能なのですか。
家電のビデオはフォーマットを変えればまた売れるとメーカーが勝手にやりほうだいですが、家電関係とは違うフォーマットなのがよかったのかもしれませんね。

また東京でオリンピックをやるなんてバカなことを石原慎太郎都知事が言っていますね。何の意義があるのかさっぱりわかりません。また鉄球を持ち出して壊して作るをやるつもりなのか。こまったものです。

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