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2005.06.05

『氷の接吻』

この作品はステファン・エリオット監督、アシュレイ・ジャッド、ユアン・マクレガー主演の風変わりなサスペンスです
この邦題は何だかわかりませんといった感じで最低な邦題です。ポール・バーホーベン監督の『氷の微笑』(1992年)から付けたのかとしかいいようがない。
同時期にヒットした邦題と合わせる典型の最低な邦題の代表として『悪魔のはらわた』(1973年)からとしか思えない『戦争のはらわた』(1977年)を連想させます。
そんなわけでこの作品の邦題は『普通じゃない*2』でいいのではと思いついた。『普通じゃないの2乗』でもいいけど『普通じゃない2人』これでいいでしょう。コメディみたいなタイトルではダメか。うまい邦題が思いつかない。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1999年 ヒット・エンド・ラン・プロ/フィルムライン・インターナショナル 英国=カナダ=アメリカ作品
ランニング・タイム◆105分
原題◆Eye of the Beholder→Beholderとは凝視者とのこと。原題からの直訳は『凝視者アイ』ですか。
プロット◆トラウマのシリアルキラーに一目ぼれしたストーカーが追う話しのようです。
音楽◆マリウス・ド・ヴリース
日本ヘラルド/ソニー・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質は非常によいです。

キャスト
アシュレイ・ジャッド→トラウマのジョアナ・エリス
ユアン・マクレガー→英国の工作員アイ
ジェヌビエーブ・ビュジョルド→矯正担当のブロート博士
アン-マリー・ブラウン/ケイトリン・ブラウン→アイの娘ルーシー
パトリック・バーギン→盲目のアレキサンダー・レナード
ジェイソン・プリーストリー→荒野のヤク中男
k.d.ラング→英国の局員ヒラリー

ステファン・エリオット監督の演出はよいと思います。
脚本も書いています。
この監督の他の作品はオーストラリアの謎の部落からの脱出を描いた風変わりなコメディの『ウープ・ウープ』(1997年)を見ています。
シーン転換が凝っていました。透明なカプセルに水を入ってて逆さにして元に戻すと雪が降るようになる置物スノーボールをシーン転換に使われていました。

ヘンリー・ミラーの詩が引用される前説があります。
タイトルはユアン・マクレガーがアシュレイ・ジャッドより先に出ていました。
ユアン・マクレガー扮する英国の工作員アイの仕事ぶりが描写されます。

ワシントンD.C.の英国領事館にて。
工作員アイは上司のヒューゴ局長から個人的な依頼を受けます。
息子を調べて欲しいとのことです。カネを使い込んで女に貢いでいるらしい。

尾行開始となる工作員アイ。
妙に目立つ赤いジャケットを着用しています。
局長の息子をクルマから監視しています。
このへんで工作員アイと一緒にいる子供のルーシーは幻ということがわかります。ルーシーはクルマの中にいたと思うは次には離れた建物の入り口にいる。変幻自在な存在なのです。ルーシーと話しながら仕事をしている工作員アイ。
スノーボールが出ています。

別荘にて。工作員アイは監視中。
アシュレイ・ジャッド扮する謎の女が登場。
局長の息子はカネを貢いでいる女に刺し殺されます。念入りに何回も刺しています。「メリー・クリスマス・パパ」のセリフ。
謎の女は死体を処理しています。工作員アイは現場を片づけます。雨が降っています。
謎の女はクルマで去ります。クルマは売れなくて生産中止になったポルシェ928です。このクルマは『スカーフェイス』(1983年)にも出てきて印象的です。

最初に目撃した殺人で依頼された件は終わってしまったのに、そのことを言わずに任務を続行するとしてストーカーをすることになっています。

謎の女は列車でペンシルバニアへ。ピッツバーグへ向かいます。
尾行する工作員アイ。
連絡をします。第3事態と報告します。
駅でスノーボールを買う工作員アイ。オーバーラップして列車内となります。
ミッキー・アーゲイルと名乗る男に話しかけられる謎の女。
列車内ラウンジでにて、工作員アイから謎の女にコニャックを渡すクローズアップショットが印象的です。
客室内で男を殺す謎の女。監視している工作員アイ。

N.Y.です。
スノーボールを使ったシーン転換となっています。
屋外スケート場にて。クリスマスという言葉に過敏な反応をする謎の女。

ホテルにて。
謎の女の隣りの部屋をとる工作員アイ。
空のバスタブの工作員アイ。壁越しには入浴中の謎の女。ハイライトシーンでおなじみの壁越しの風呂に入ってるシーンは27分過ぎに結構早めにありました。
歌が流れます。いい歌です。

出かける時にホテルのフロントのおばさんから男がつけていると警告される謎の女。

街にて謎の女はナンパされますが無視します。ナンパした男とはタクシーとぶつかる。

ホテルにて。
ソルトレイクシティから追ってきたクロッカー刑事が登場。
交渉となりますが刑事のリボルバーで撃つ謎の女。
あまり後先のことを考えていないようです。すぐに逃げます。現場の後始末をする工作員アイ。

空港のロビーにて。
盲目のレナードと知り合う謎の女。いつものように偽名を名乗ります。
西海岸のS.F.に向かいます。

S.F.です。
連絡する工作員アイ。
謎の女はジタンのタバコ。ノーブラです。素敵。

教会の鐘から監視する工作員アイ。鐘が鳴る時はうるさくて大変です。娘のルーシーと話しをしながら監視しています。
ワイン王らしいレナードといい仲になる謎の女。
レナードの子供の頃のクリスマスの話をする謎の女。回想が現在と同一シーンに納まる手法になっています。『令嬢ジュリー』(1951年)や『野いちご』(1957年)等で使われている手法です。
ここでヒロインが何故殺人に走るのか?→理由は9才の頃クリスマスの夜に父親に蒸発されたからとなっていました。随分とわかりやすい。出だしの殺人からすると何か拍子抜けといった感じですが早めにネタバレしているのはプラスになっています。ラストまで引っ張ってこのネタでは文句が出るとこでした。

謎の女には前科があると連絡が入ります。
本名はジョアナ・エリス。
飛行機で移動する工作員アイ。どこへ行く?→東海岸のボストンです。
ジョアナがいた施設に話しを聞きに行くらしい。
ここの先生がジェヌビエーブ・ビュジョルド扮するのブロート博士です。
話しを聞きますが刑事ではないとバレて追っ払われます。

S.F.に戻ります。
尾行する工作員アイ。レナードの自宅にて。
レナードに結婚の話をするジョアナ(本名)です。
ジョアナ(本名)が帰宅したとこでレナードに感づかれてしまう工作員アイ。
ここでブチ切れたのか「結婚なんかするな、殺されるぞ」と警告して蹴りを入れる工作員アイです。

で、ジョアナ(本名)とレナードが結婚するとなったら何を思ったか破壊工作をする工作員アイ。ジョアナ(本名)が乗っているのも構わずにリムジンを撃ちまくります。このままでは結婚は上手くいってしまうと危惧したからでしょう。屈折しています。
ところで狙撃に使っていたボルトアクションのライフルはマイクにカメラが仕込んであるだけかと思ったら弾丸を発射するという本来の機能も持ち合わせていました。これは意外な描写でいいです。

本編には関係ないけどコイットタワーが見えました。
ちゃんとS.F.でロケをしているようです。実はバンクーバーでロケしてごまかしていましたではないようです。

レナードは死に至ります。
ジョアナ(本名)はS.F.を去ります。クルマはMG。

スノーボールのオーバーラップで移動をモンタージュ。
デス・バレー→ヨセミテ→ラスベガス→コロラド・ベル。

クルマが故障なのかガス欠なのかで荒野のハイウェイで止まっているジョアナ(本名)
ジェイソン・プリーストリー扮するイカレタ感じの男が助けます。
荒野のドライブインのようなとこに入ります。
尾行している工作員アイ。
夜になってとこで本性を表わしてジョアナ(本名)を殴る蹴るしてヤクを打つイカレタ感じの男。
工作員アイが救援に入ります。ブラスナックルで殴ります。
翌朝、工作員アイが男を始末している隙にジョアナ(本名)は逃亡します。

連絡する工作員アイ。
依頼していた局長が夫人と共に交通事故で死亡したそうでこの件は終了と言われます。
無理を言って続行する工作員アイ。

シカゴです。
病院に行く工作員アイ。クルマは黄緑のワーゲン・ビートル。歌が流れます。
ジョアナ(本名)がいます。去ります。
退院するジョアナ(本名)です。看護師と話しをします。流産した赤ん坊の墓があるとのことです。

街中を徒歩で尾行する工作員アイ。
ジョアナ(本名)が警察に連行されそうになると銃撃戦までして逃がしていました。

アラスカにて。食堂『地の果て』
ウエイトレスをしているジョアナ(本名)
客をしている工作員アイ。話しをしています。まともに話しをするのはこれが初めてのようです。
男2人がやってきます。刑事です。
夜になって食堂で話すジョアナ(本名)と工作員アイ。

次の日です。
施設のブロート博士が刑事2人と来ます。本物のジョアナか確認の首実検らしい。ここでは群衆の中の密室状態がよく描写されていました。これはいいです。
ジョアナ(本名)に食堂を抜け出すように言う工作員アイ。
クルマで工作員アイのねぐらにしているキャンピングカーに入ります。
あらかじめ空砲を装填してあったアイのリボルバーで工作員アイを撃つジョアナ(本名)→これはわざと空砲で撃たれるように仕向けたように思えます。狙いはショック療法か?ハッピーエンドに持ち込む伏線だったのかも。
クルマで逃亡します。バイクで追う工作員アイ。
このバイクが日本のバイクらしいが擬装が上手くて車種が選定出来ず。バイク好きとしては悔しい。

バイクとクルマを並走しててバイクから手を差し伸べるシーンはよかったのですがラストが何とも中途半端というか心中物にもならず逃げ切ることも出来ずと何かいい終わり方がなかったものかとなるが、これも悪くはないのではと思えたりもします。


アシュレイ・ジャッドはキャラクターの設定で出るたびに髪形と衣装が変わっているので楽しめました。
アシュレイ・ジャッドは何というか面白いルックスをしています。整っているように見えるけど単に美しいだけではないような変なルックスです。性格はどうかな。きつそうだけどそうでもない水野久美みたいか?
ジャッドなんて昔のF1エンジンみたいな名前だなと思ったいたら私生活ではレーシング・ドライバーのダリオ・フランキッティと結婚しています。ロジックが通っているとはこのことをいうののか?
ここのとこアシュレイ・ジャッドさんはすっかり1940年代専門女優になっているような。

工作員アイにとって謎のジョアナ・エリスは消えた奥さんと子供を兼ねている存在のようです。英国の税金を使ってストーカー行為をしているだけなんですけど。全身全霊をかけ、これくらい有意義に使ってれば別にいいんじゃないと思わせます。
どこにでもいる男。それがユアン・マクレガーの工作員アイと特徴とのことです。それなのに目立つ赤いジャケットをよく着てるのは何でだかわかりませんが。

ユアン・マクレガーはユーモア抜きのストーカー演技でした。
普通なら不気味なのですがユアン・マクレガーのキャラクターと演技力で誠実なストーカーを好演していました。レイ・リオッタとかスティーブン・ドーフが演じたらこうはいかないでしょう。

ジェヌビエーブ・ビュジョルドが出ていました。
随分と歳をとっていますがいまだに可愛く見えます。ビュジョルドといったらブライアン・デ・パルマ監督の『愛のメモリー』(1976年)が1番です。
シンガーのk.d.ラングが出ています。監督の趣味としか思えません。
盲目のワイン王アレキサンダー・レナードを演じるパトリック・バーギンは名演でした。


これは佳作です。サントラを買ってもいい。
そんなわけでどうせ税金を使ってストーカーをやるならこれくらいやって欲しいもので、なかなか屈折しているよい作品でした。


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コメント

こんにちは。わたしもこの映画好きなんで、楽しく拝読しました。

ところで、
>Eye of the Beholder→Beholderとは凝視者とのこと。原題からの直訳は『凝視者アイ』ですか。

これは、The beauty is in the eye of the beholder、美は見る者の目に宿る、という英語の諺が元ネタだと思いました。

では!また来ます!

ちょろんさん、フォローのコメントをありがとうございます。
なるほど「The beauty is in the eye of the beholder、美は見る者の目に宿る」という元ネタがあるのですか、だったらしょうもない邦題はこの元ネタを参考にすればよかったのにと思えます。

ユアン・マクレガーは実生活ではバイク好きでBMWのバイクを使ってアドベンチャー・ツーリングをやっています。ですからこの作品でのバイクの運転は吹き替えではないようです。

2日前に地上派の深夜で放映していました。

前にWOWOWで見たことのある好きな映画なので、最後まで見てたら、最後の音楽が流れてすぐに終わり。

私はある意味、この映画は最後のきれいなエンディング曲を聴かせるために、それまでの90分があると思ってるので、がっかり。

ジョアナとアイの心が通じ合った時に、もう2人の時間がない。。。
そういう切なさをだすのに、エンディング曲が非常にマッチしていたのにねえ。

地上派でもちゃんとカットせず放映してほしかったなあと。
この映画の感想は少ないのに、きっちりこの映画の良さを伝えようとしてくれているので、ちょっとコメント書かせてもらいました。

samさん、コメントありがとうございます。

地上派の深夜放映があったのですか、私のとこでは放映がなかったので突然この作品のアクセス数が増えたので何で?と思っていました。

地上波放送では当然本編カットで日本語吹き替えですね。
本編カットは残念ですね。場合によってはまるで別の話しになったりしますから。
ヒロイン ジョアナの日本語吹き替えは誰なのかな?と日本語版なりのお楽しみがあったりします。

私の感想で楽しんでもらえて重ねてありがとうございます。

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