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2005.06.23

『パニック・ルーム』(2002年)

この作品はデビッド・フィンチャー監督、ジョディ・フォスター主演のヒッチコック調のサスペンスの筈です。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2002年 インデリブル・ピクチャー/ホフランド=ポロン・プロ/コロンビア・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆113分
原題◆Panic Room
プロット◆強盗に入って?入られて?両方が悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆ハワード・ショア あまりバーナード・ハーマン調になっていない、よいスコアでした。
スカイパーフェクTV315スターチャンネルにて。画質はよいです。

キャスト
ジョディ・フォスター→1児の母メグ
クリスティン・スチュアート→娘のサラ
フォレスト・ウィテカー→設計担当のバーナム
ジャレッド・レト→遺産関係者のジュニア
ドワイト・ヨーカム→凶暴なラウール
パトリック・ボウチャウ→メグの元夫スティーブン・アルトマン
ポール・シュルツ→話しが長いキーニー巡査

元夫の愛人役で電話のみの出演がニコール・キッドマンのようです。キッドマンは私のご贔屓の女優さんなのですが全然気がつきませんでした。メラニー・グリフィスやジェニファー・ティリーのような特徴のある喋り方ならわかるですが。キッドマンは喋り方が普通なのでわからんかった。

デビッド・フィンチャー監督の演出はよいと思います。
脚本はデビッド・コープ。

全体的に見るとあまりヒッチコック監督の引用はないように思えます。ヘタに真似していないからこれでいいのでは。引用はタイトルだけのようです。犯罪者が自滅というか驚くほど順調に犯罪計画が崩れていくようになっています。

階段の手すりの格子をカメラがすり抜ける手法は『レベッカ』(40年)のプロローグで使われている門の格子をすり抜ける手法のバリエーションです。
壁を通り抜けるカメラが多用されています。何しろカメラは無節操に壁や床を通り抜けまくりなので、これではアルフレッド・ヒッチコック監督というよりブライアン・デ・パルマ監督のようです。デ・パルマ監督もついに真似されるようになったのかと感慨深い?

タイトルのデザインが『北北西に進路を取れ』(59年)の見事なバリエーションとなっています。実写のビルとタイトル文字の重ねる合成技術が発達していることがよくわかります。この作品のタイトルはセンスはいいです。

舞台となる家を案内するとこから始まります。
以前住んでいた富豪パールスティンの話し。パニックルームの説明もあります。色々と伏線をばらまいています。
パニックルームにはソニーのモニタが8台並んでいます。

引っ越し初日の夜となります。雨がずっと降っています。
宅配ピザを食べる母子2人。
娘のサラは腕時計をしています。寝ている時もしているので何でかな?となりますが実は普通の時計ではなかったりします。
深夜になって3人組が侵入してきます。ここではカメラが移動しまくりの長回しとなっています。鍵穴からどこもかしこもと動きまくります。カメラがガラス戸を割って突き破ればメル・ブルックス監督の『メル・ブルックス 新・サイコ』(77年)みたいになると思ったがさすがにそこまではやらなかった。やったらモノホンのコメディになってしまいます。
何故かジョディ・フォスターのトイレのシーンまで描写されています。ファン必見のわけないですか。
侵入に気がついた母子2人は間一髪でパニックルームに逃げ込みます。
備え付けのマイクで3人に出て行けと言います。パニックルームの中からは話しかけられるが外の音声は聞こえないという設定です。
警察に電話をしたとハッタリをかけますがフォレスト・ウィテカー扮する設計担当のバーナムにあっさりと見破られジェスチャーで電話は通じていないと知らせます。
紙に脅しの文を書いて見せますが何となく間が抜けています。もしかしてギャグなのかな。

ドワイト・ヨーカム扮する凶暴なラウールをジョー・ペシに例えるとこがありましたがこれは何からのゆらいなのでしょう。やっぱりマーティン・スコセッシ監督作品のキャラクターからなのか?

3人組ですがフォレスト・ウィテカーは悪人には見えなかったりします。ジャレッド・レトはドレッドヘアで悪役を熱演しています。ですがそんなに恐ろしくは見えない。
ジャレッド・レト扮するジュニアがいうところ300万ドルの遺産があるとのこと。ジュニアはここに住んでいた富豪の面倒を2年やっていたと称しています。それで聞き出したということです。ヘルパー?と思ったら遺産相続の権利がある親類縁者でした。

母子がパニックルームが出ても逃げられないように邸内の出入り口を固めてから何とかパニックルームの侵入しようと奮闘する3人となります。
通気孔からガスを送り込む作戦をとります。窒息しそうになった母子は備え付けの点火器で通気孔のガスを点火させて捨て身の逆襲をします。3人への被害は甚大となります。特にジュニアはひどい火傷を負います。
こんなもたもたぶりでは夜が明けてしまうよと3人に対して見てる方が心配になります。

パニックルーム内から外に通じる穴から懐中電灯のモールス信号を送るサラ。隣人が無関心でこれは空振りとなります。

携帯電話を取りにパニックルーム内から出るメグ。
見事に取り帰還しますが電波状態が悪くて使えない。次は有線の電話線を壁から引っ張り出して電話機をつないで連絡しますが途中で電話線を切られてしまいます。警察には相手にされず、元旦那には途中で切れてしまいます。

やっぱり3人でたよりになるのはフォレスト・ウィテカー扮する設計担当のバーナムとなるようです。
分け前の話しでもめて肝心のパニックルーム攻略の仕事が進んでいません。
急に弱気になったジュニアはおとなしく帰って最初からの遺産の取り分でいいと言い始めてホントに帰ろうとします。どうやら今回は遺産を独り占めにしようと計画したようです。これに怒った凶暴なラウールはジュニアを撃ち殺します。

元旦那がやってきますがあっさりと捕まってしまいます。1人減ったので2人は元旦那を人質にパニックルームを開けろと脅迫します。

警官が2人やってきます。応対するメグ。
この応対が長いこと。一応追い払います。

何とかパニックルーム内に入って隠し金庫を開けるバーナム。技術屋ぶりを発揮する描写があります。
一方外にいることになってメグは色々と工作します。とても素人とは思えない仕事ぶりです。

そんなこんなでラストになるとホトンド、フォレスト・ウィテカーが主役と化しています。これでは描写バランスを欠いているのでは?となります。
フォレスト・ウィテカーですが何となくジョン・ヒューストン監督の『アスファルト・ジャングル』(50年)とスタンリー・キューブリック監督の『現金に体を張れ』(56年)のスターリング・ヘイドンのように思えます。


ジョディ・フォスターは貫録充分で安心して見ていられます。
話しの展開の割にはサスペンスがあまり感じられなくなるこのキャスティングでよかったのかと疑問も出ますが演技には文句の付けようはありません。

悪人3人組ですがどうも力不足で3人が束になってもジョディ・フォスターにかないそうにもありません。
その3人を演じる俳優の特徴はというと。
フォレスト・ウィテカーはルックスの通りのキャラクターでとても悪い人には見えなくて実際にその通りのキャラクターでした。これでいいと思いますが脅威にはなっていません。
ジャレッド・レトはドレッドヘアでなく普通の髪形とメイクですとTVシリーズ『ウルトラセブン』(67年)のモロボシダン隊員を演じた森次浩司(現・晃嗣)にそっくりなので、そんなわけでジャレッド・レトもこまったらウルトラセブンに変身しちゃえばいいじゃないとなります。でもウルトラセブンでもジョディ・フォスターにかないそうにもありません。この作品では口だけのヘナチョコキャラで全然脅威になっていません。
ドワイト・ヨーカムはカントリーシンガーでウエスタンルックで腰を振って歌っているとこしか見ていないのイマイチ迫力に欠けますがこの作品では無表情に徹してかえって迫力を出すようにしているようです。効果はまあまあです。でもそんなに脅威になっていないような。


見る前は引用したのはアルフレッド・ヒッチコック監督からと思ったけどラストのフォレスト・ウィテカーからすると実はスタンリー・キューブリック監督からの引用のように思えました。
そんなわけで予想とは全然違っていましたがフォレスト・ウィテカー主演?のよい作品でした。



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コメント

初めまして
jamsession123goと申します。
ジョディ・フォスターのファンなので、このブログへやってきました。
彼女の映画は、ネル、ホテル・ニューハンプシャー、コンタクト、羊たちの沈黙、パニック・ルームなど、結構見ています。
彼女の知的な雰囲気が大好きです。(と言っても、精子バンクから精子をもらって子供を産む、と言うところまではちょっと理解できていませんが)
jamsession123goのブログでも彼女のことをいろいろ書いていますので、一度、お越しください。

jamsession123goさん、コメントありがとうございます。

私はどちらかといえばジョディ・フォスターよりナスターシャ・キンスキーの方がよかったりします。
彼女の出演作では『キャット・ピープル』(82年)がお気に入りです。

ジョディ・フォスター出演作では『タクシードライバー』(76年)ぐらいしか見てなかったりします。

返事が送れたのはブログ初心者なものでjamsession123goさんのコメントを見逃していたからです。ブログのことはまだよくわからかったりします。

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