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2005.05.22

『放射能X』

この作品はゴードン・ダグラス監督、ジェームズ・ホイットモア、ジェームズ・アーネス、エドマンド・グウェン、ジョーン・ウェルドン主演の特撮クラシック物で放射能による巨大化生物が現れる設定を作ったオリジナルの作品のようです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1954年 ワーナー アメリカ作品
ランニング・タイム◆93分
原題◆Them!
プロット◆ 巨大アリを相手に悪戦苦闘する話しのようです。
音楽◆ブロニスロー・ケーパー なかなかよいスコアでした。
ワーナー発売の『クラシックモンスターDVD Limited Box I』のDVDにて。画質は非常によいです。

キャスト
ジェームズ・ホイットモア→ベン・ピーターソン巡査部長
ジェームズ・アーネス→FBIのロバート・グレアム
エドマンド・グウェン→ハロルド・メドフォード博士
ジョーン・ウェルドン→娘のパトリシア・メドフォード博士
サンディー・デッシャー→歩く少女
メリー・アン・ホーカンソン→殺されたロッジの奥さん
クリス・ドレイク→警察官エド・ブラックバーン
フェス・パーカー→精神病院の証言者クロッティ
オーリン・ハウリン→アル中の証言者ジェンセン

ゴードン・ダグラス監督の演出はよいと思います。
この作品の原題は『Them!』といいます。
モノクロ画面でタイトル文字の『Them!』だけがカラーで赤くなっています。これはいい感じ。モノクロに赤だけカラーというのよくあるけどいいアイデアです。『戦艦ポチョムキン』(1925年)がオリジナルなのかも。


ニューメキシコの砂漠地帯から話しは始まります。
出だしはなかなか強烈で砂漠の荒野の道を壊れた人形を抱いたショック状態の少女が歩くシーンです。警官に声をかけられてもひたすら歩く。

救急車に乗せられている時にアリの交信音を聞いて起き上がる。
その後に病院で少女が蟻酸の匂いで「them!」と叫ぶシークエンスも強烈です。

少女が家族と来ていたキャンピングカーの場所で現場検証している時に例のアリの鳴き声?聞こえます。私の聞きなしだとカナカナ?と聞こえるのかな。それではセミじゃないですか。まあいいけど。
状況から少女はキャンピングカー内の戸棚に隠れていたようです。隠れている戸棚のすぐ外には得体のしれない怪物がうろついている。これはかなりなものでリアリティがあります。それはショック症状になります。

近くの雑貨店も荒らされています。
相棒のエドが残りますがやられます。

メドフォード博士ら2名が輸送機で到着します。
調査に行きさっそく巨大アリと遭遇します。
触覚のことを英語ではアンテナというのですか。これはわかりやすい。英語ってシンプルでいいです。

ヘリコプターで砂漠を捜索して発見された巨大アリを極秘で退治することになります。
アリの巣を焼いてシアンガスを流し込みます。
巣穴の中に入り調査してところ働きアリ等は片づけましたが肝心の女王バチとオスハチはすでに飛んで逃亡した後となります。
調査で巣穴に入ったとこでまだ生き残りのアリがいて火炎放射器を使用していました。太平洋戦争で実際に火炎放射器で焼かた日本人には意味深です。
それで女王バチとオスハチはどこに飛んでいったと悪戦苦闘が続きます。

政府関係者への説明となります。
フィルム映写等があります。アリの生態に関して詳しい描写がありました。こういう姿勢がいいのです。勉強になるし、いつまでも覚えています。
結論は早く対策をしないと1年でこの世は終末を向かえるとメドフォード博士が警告をします。

謎の飛行物体を見たとのことで精神病院に証言を聞きに行きます。
証言者は「カミカゼ」なんて言ってます。

L.A.沖にて。船が襲われます。
巨大アリに襲われている船が『バイキング』で、目撃して無線で報告してる船が『ミルウォーキー』です。

その後の会議で気の毒な船『バイキング』は巨大アリごと爆破処理されたと淡々と報告となっていました。これは怖い。
『バイキング』はアカプルコに4日停泊していたとなっています。
女王アリは2匹と交尾用の雄アリの合計3匹が巣穴からズラかったようです。

いよいよ舞台はL.A.となります。
砂糖40トンが盗難にあったと情報が入ります。
子供と遊びに来てた父が殺されて子供2人が行方不明になります。
証言を取るシーンが結構長い。
行方不明になった付近に行って調べたとこアリはL.A.の河に面した雨水管にいるとわかります。

記者会見となります。記者会見ではNBCのTVカメラが見られました。
L.A.に戒厳令が敷かれることになります。

他の映画でもよく見るL.A.を流れる水の少ないコンクリート張りの河はここにも出てきます。この河が登場する映画の特集が出来ます。もしかして『放射能X』が最初なのかもしれません。
ここで行方不明になった子供が無事だったのは子供を殺してしまったら誰も見に来ないからだとなります。リピーターがいなくなってしまうし。

クライマックスには子供救出もあります。
結構緊張感もありアクションもあります。主役のジェームズ・ホイットモアが死んだのもあって、もう片方の主役ジェームズ・アーネスがやられるのではとも思わせてるし・・・、これは面白い。
自動小銃はM1ガーランドを使っています。

最後にメドフォード博士に肝心の女王アリがいるか確認をしてもらったりとディテールもいいです。
で、やはり最後に博士がこれが最後ではないと言ってエンドとなります。


ジェームズ・ホイットモアはパトロールの警官コンビの1人で最初から出ています。
この後はなりゆきで巨大アリ対策にかかりきりになって出ずっぱりとなっていました。まあいいのでは。

この話しの進行は東宝特撮作品に影響を与えています。
警察が発見して科学者が来て軍隊と協力してと話しは進行します。これはそのまま『空の大怪獣ラドン』(1956年)に引用されています。この手法は話しの進行のフォーマットになっています。
ヘリコプターの形が『空の大怪獣ラドン』に引用されています。ホトンド同じです。モノホンも何だかミニチュアのようだ。


正直言って巨大アリのクリーチャーは張りぼてで、見てる方でこれはクリーチャーなんだと補正しなくてはいけませんが本編がよく出来ているのでマイナスにはなっていません。
私が勝手に考えたクリーチャーがリアルでなくても演出がよければ許せると言う原則?があって、これがピッタリはまります。この原則は『エイリアン』(1979年)が出てからは難しくなりましたが。『エイリアン』は演出は抜群でクリーチャーは地獄のようなデザインで絶品な出来となっているのです。


キャストについて・・・
さすがに『海外特派員』(1940年)『ハリーの災難』(1956年)等のアルフレッド・ヒッチコック監督作品にも出ているエドマンド・グウェンはお上手なものでコメディリリーフにもなっているしシリアスなとこもバッチリでいいものです。この作品は『ハリーの災難』と同時期となっています。東宝特撮作品でおなじみの志村喬並みの演技でした。
エドマンド・グウェンは『三十四丁目の奇蹟』(1947年)にも出ていたようです。この作品の方が有名なのかもしれません。
志村喬といえば博士役より新聞記者フランキー堺をこき使う編集長役をやっていた『モスラ』(1961年)の志村喬がよかったりします。

こわもてですが子供に優しい警官役をジェームズ・ホイットモアが熱演していました。背があまり高くないので長身のジェームズ・アーネスとでこぼこコンビになっていました。
ジェームズ・ホイットモアはピーター・ハイアムズ監督の街中まではいかず博物館内だけで暴れ回る結構お気に入りの怪獣映画『レリック』(1997年)に車イスの老博士役で出ていました。おそらくこの作品へのオマージュでしょう。『レリック』の怪獣?は時節柄、放射能ではなくDNAがどうのこうのとなっていたと記憶しています。

『遊星よりの物体X』(1951年)では物体Xを演じていたジェームズ・アーネスが出ています。『遊星よりの物体X』とは違うキャラで普通の人間でFBIの好青年でした。

この作品以外では見たことがないヒロインのジョーン・ウェルドンはスーツ姿がいいです。砂漠の巣穴の前で危険だからと入る入らないでジエームズ・アーネスと一悶着あるとこなんてロマンティック・コメディのルーティンみたいでいいものです。この女優さんはいいです。

博士親子の2人は双発機で到着します。この飛行機は何でしたっけ?→ノースアメリカンB−25ミッチェルのようです。
警察や軍隊の装備の方はトンプソンのサブマシンガン。M1ガーランドの自動小銃等です。バズーカ砲も使っていました。

DVDでセットになっている同工異曲作品の『原子怪獣現わる』(1953年)と比べると『放射能X』の方が演出もキャストも上で全然よい出来です。『原子怪獣現る』でいいのはストップモーションの怪獣だけだったりします。

横山光輝のマンガ『鉄人28号』の巨大アリが出てるエピソードはこの作品のよいバリエーションと言えると思います。ギャング団を絡ませたりして頭を働かせてそっくりそのまんまではないのがいいところです。さすが巨匠は違います。


そんなわけで特撮物のオリジナルにふさわしいよい作品でした。佳作です。


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