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2005.05.13

『ウェイキング・デッド』(2000年)

この作品はキース・ゴードン監督、ビリー・クラダップ、ジェニファー・コネリー主演の少し風変わりな感じのシリアスドラマです。人が人を思うことが突き詰められている話となっています。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

2000年 エッグ・ピクチャーズ/ポリグラム/ユニバーサル・ピクチャーズ 英国作品
ランニング・タイム◆106分
原題◆Waking the Dead
プロット◆選挙運動中に死んだ恋人を思う話しのようです。
スカイパーフェクTV315スター・チャンネルにて。画質はよいです。

キャスト
ビリー・クラダップ→議員志望のフィールディング
ジェニファー・コネリー→ 恋人で活動家のサラ
ハル・ホルブルック→後援者のアイザック
モリー・パーカー→アイザックの姪ジュリエット
ポール・ヒップ→フィールディングの兄ダニー
ジャネット・マクティア→フィールディングの姉で画家キャロライン
ジョン・キャロル・リンチ→ミレスキー神父
スタンリー・アンダーソン→フィールディングの父エド
パトリシア・ゲイジ→フィールディングの母メアリー

キース・ゴードン監督の演出はよいと思います。
この人は俳優出身です。俳優としての作品はブライアン・デ・パルマ監督の『殺しのドレス』(1980年)やジョン・カーペンター監督の『クリスティーン』(1983年)等を見ています。どちらもよい作品でした。

タイトルでユニバーサル・ピクチャーズと出ていますが、これは配給しているだけでしょう。ユニバーサル・ピクチャーズはあまり好きな製作会社ではないのてそれなら安心して見れます。
ジョディ・フォスターが製作総指揮を担当しています。この作品で1番有名な人となるようです。

タイトルで歌が流れます。これは誰だ?→ジョニ・ミッチェルのようです。CDを買おう。歌のタイトルは『A Case Of You』です。
1972年のN.Y.にて、ビリー・クラダップ扮する議員志望のフィールディングとジェニファー・コネリー扮する活動家のサラの2人が会います。
初対面からいい感じの2人。兵役のことをドラフトと言ってます。英語ってシンプルです。わかりやすくていい。
1974年に自動車爆破事故で活動家のサラが死に至ります。

1982年のシカゴとなりフィールディングの議員立候補の話しとなります。ブルーカラー階級出身でハーバード大学へ行った主人公のフィールディング・ピアースは自分は以前から国会議員になりたいとなっています。
これで話の設定がすんだところで回想の1973年と現実の1983年が行ったり来たりして進行します。

会話シーンでの切り返しはやっていません。
余計な動きをしないカメラの長回しを多用して俳優を演技を最大限に生かした演出になっていようです。いかにも俳優出身らしい手法です。でもこれだと演技がくどくなる欠点もあるのですがこの作品はうまくまとめていました。
議員となったフィールディングが陳情の手紙を読むと書いた本人がそこにいると同じことなのだと描写されていました。手紙は大事のアイテムで差出人の分身となるようです。

舞台となる1983年にて主人公フィールディング・ピアースは選挙運動のまっただ中で1974年に死んだ恋人のサラが生きているのではと思います。
選挙運動中の忙しいとこにフィールディングに勝手なことを持ち込む兄に、理解者ではあるが常識的なとこにとどまっている画家の姉がいます。両者ともあまり助けにはなっていません。

果たして恋人のサラはホントに死んでいるのか生きているのかと話しは進みます。見ていると私は生きているのではと思っていました。

フィールディングとサラの2人が再会するシーンがクライマックスになっています。
再会には3パターンが考えられます。
サラは実は生きていた。これでもいいのですがイマイチ説得力に駆けるような。
サラは死んで天使になって会いに来た。これは超常現象ありになってしまうのであまり好きではないな。
実はフィールディング自身の妄想だった。これは嫌だな。
それでクライマックスの2人が再会するとこは現実なのか幻覚なのかハッキリとはせずに余韻を持たせていました。これはずるいのでは思えますがビリー・クラダップの熱演で説得力があり過ぎで見てて納得となります。

何だか2人の再会のシーンは筒井康隆のSF小説『エディプスの恋人』での神になった奥さんと再会する旦那のとこのように思えました。こんなとこで『エディプスの恋人』の1シーンが見られるとは思ってもいませんでした。これは凄い作品です。
この再会が終わり朝になると主人公フィールディングは生まれ変わったようになります。これは感動的です。

議員志望のフィールディングを演じるビリー・クラダップは全編に渡って熱演していました。演説好きなのが議員向きのようです。
人を思うこと、自分の考えとやりたいこと、この2点をつき詰めていました。素晴らしい。

ジェニファー・コネリーが初めて魅力的に見えました。若い時より今の方が魅力的です。
『ウェイキング・デッド』の前作が『ダークシティ』(1998年)なのですか。『ダークシティ』は見てるけどジェニファー・コネリーは出てるだけのようでしたから作品でこうも違うことになるようです。
コネリーがアカデミーを取った『ビューティフル・マインド』(2001年)は賞取り専用作品といった感じであまり見る気がしなかったりします。

エド・ハリスが同性愛の愛人を雇って失脚した議員でTV画面のみで登場。これだけしか出てないのに全く手抜きしない演技です。さすが演技派というか何で出たんだ?


これは佳作です。正直言って私が今までで1番感動したウイリアム・ワイラー監督、カーク・ダグラス主演で、壮絶な『ある刑事の物語』のドラマになっている『探偵物語』(1951年)並みの出来と思えます。話はだいぶ違っていますが全身全霊な主人公のキャラクターは同じです。
たいていの愛はカネで買える、カネで買えない愛もある。映画ではカネで買えない愛がある。これで映画を見ているようなものです。
そんなわけで素晴らしい作品でした。


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コメント

この映画を観たくなりました

movierさん、ぜひ見てください。あまり期待しすぎてはダメですけど。
なるべく普通な状態で見てください。
私の感想が参考になれば幸いです。

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