『キンスキー、我が最愛の敵』(1999年)
この作品は少し見て面白かったので見ました。ヴェルナー・ヘルツォーク監督が怪優クラウス・キンスキーを言いたい放題こき下ろすドキュメンタリーです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1999年 ゼファー・フィルム ドイツ=イギリス作品
ランニング・タイム◆100分
原題◆Mein liebster Feind - Klaus Kinski
プロット◆ヴェルナー・ヘルツォーク監督がクラウス・キンスキーが先に死んだのをいいことに一方的にこき下ろすドキュメンタリーのようです。半分は当たっていると思う。
音楽◆ポポル・ヴー
スカイパ−フェクTV260シネフィルイマジカにて。画質はよいです。
キャスト
奇行する怪優クラウス・キンスキー
それに付き合うヴェルナー・ヘルツォーク監督他の方々
ヴェルナー・ヘルツォーク監督の演出はよいと思います。
ヴェルナー・ヘルツォーク監督はもう故人だと思っていましたがまだ健在だったのですか。同時期のドイツの有名監督ヴィム・ヴェンダース、ヴェルナー・ヘルツォーク、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの3人を混同していました。故人なのはライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督だけなのですね。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督の作品だけは見ていません。映画ファンとして恥ずかしい限りです。
ヴェルナー・ヘルツォーク監督とクラウス・キンスキー主演のコンビで5作あるそうです。
『アギーレ 神の怒り』(72年)
『ノスフェラトゥ』(78年)
『ヴォイシェック』(79年)
『フィツカラルド』(82年)
『コブラ・ヴェルデ』(88年)
私は2本見ています。『フィツカラルド』(82年)と『ノスフェラトゥ』(78年)です。これだけです。
F・W・ムルナウ監督の傑作サイレント映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』(22年)の勝ち目のないリメイク『ノスフェラトゥ』ですが、わざわざ撮る必要があったのかと思えます。何で撮った?と思えます。
クラウス・キンスキー出演のマカロニウエスタンは『夕陽のガンマン』(65年)しか見ていません。悪の手下役で何故か左手でリボルバーを扱っていました。リー・バン・クリーフにあっさりと撃ち殺されて退場していました。
クラウス・キンスキーはナスターシャ・キンスキーの父親です。よく似ている父と娘です。
予想としてはクラウス・キンスキーが死んだのをいいことにヴェルナー・ヘルツォーク監督が言いたい放題なのか。そんなことはないと思えますが・・・→で、見終わると意外とそんな感じだったりします。
ヴェルナー・ヘルツォーク監督は世界のあちこちでロケしています。このキャリアなら『東京画』(85年)で東京に撮りたいとこはないと言うのがわかります。
始まったとこでお客を前に舞台上でキリスト教に関して演説をしているクラウス・キンスキー。後になってこれは舞台劇の公演とのことです。そんな風には見えないけど。
ミュンヘンにて。昔住んでいたアパートにやってくるヴェルナー・ヘルツォーク監督。
現在住んでいる老夫婦相手にクラウス・キンスキーについて喋ります。当時ヴェルナー・ヘルツォーク監督がまだ子供だった頃に偶然クラウス・キンスキーも住んでいて当時から数々の奇行をしていたとのことです。
ここのシーンに何というか汚い言葉の詩の朗読がオーバーラップしてシーン転換となります。
ペルー、ウルバンバ川。列車のヴェルナー・ヘルツォーク監督。
『アギーレ 神の怒り』(72年)の話し。ロケしたとこに行きます。
インタビューが中心ですがメイキングのシーンもあります。
『戦場の叫び』(54年)でのクラウス・キンスキーの起きる演技を見て感慨をうけたと言ってます。マクシミリアン・シェルが出ている反戦物とのことです。これはさすがに見ていません。
ロケ地で今は観光ガイドをしているエキストラで出演していた現地の人ゴンザレスと会うヴェルナー・ヘルツォーク監督。
『アギーレ 神の怒り』の撮影現場はクラウス・キンスキーがむゃくちゃをやってて大変だったとのことです。
ロケ地のマチャピチュの風景で自分が目立たなくなるてことに腹をたてるクラウス・キンスキーとのことです。ホントにむちゃくちゃです。
ところで『フィツカラルド』はペルーでもロケをしていたのか?と思える描写があります。アマゾンではなかったのか?
『フィツカラルド』の撮影もまた大変でケーブルが切れて流される船の話しがあります。
ここで有名らしい銃で脅かして撮影してたというエピソードがヴェルナー・ヘルツォーク監督によって語られます。銃はその場にはなくて話しだけで「君に8発撃ち込んで1発は自分の頭に撃つ」と言ったそうです。「あなたも殺して私も死ぬ」と同じでまるで痴話ゲンカのセリフのようです。これでクラウス・キンスキーはおとなしくなったと言ってます。
『ヴォイシェック』(79年)ことで。
ヒロインを演じた女優さんのエーファ・マッテスと話しをするヴェルナー・ヘルツォーク監督。クラウス・キンスキーを褒めることが出来る貴重な女優さんとのことです。
『フィツカラルド』での撮影現場での口論シーンがあります。
クラウス・キンスキーと製作者との口論。ヴェルナー・ヘルツォーク監督は傍観しつつ時々止めています。
インディオにはクラウス・キンスキーは異質に見えているとのことです。このインディオ達の対応とは?と話しは進む。
インディオ達の対応→インディオの頭領が来てヴェルナー・ヘルツォーク監督にクラウス・キンスキーを殺してしまおうと相談しますが監督は撮影に必要だからやめてくれといったとのこと。映画製作が最優先となっているようです。それでは撮影が終了していたら殺人を許可していたのかと思えてしまいます。ヴェルナー・ヘルツォーク監督ならOKを出しそうな感じがしますけど。
2人の自然に対する考え方の違いを語るヴェルナー・ヘルツォーク監督。もちろん自分が正しい方だと言ってます。
クラウス・キンスキー襲撃計画を語るヴェルナー・ヘルツォーク監督。キンスキーの家にはシェパードがいたから中止したとのことです。
カメラマンのピート・プレッサーと話しをするヴェルナー・ヘルツォーク監督。この人との話しは中々興味深い。写真を見ながら議論します。
『フィツカラルド』のボスターの写真があります。これはいい絵です。
クラウス・キンスキーのひねりを解説するヴェルナー・ヘルツォーク監督。横からの画面への入り方のことだそうです。この方法でやると神秘的な感じとなるとのこと。
『フィツカラルド』は最初はジェーソン・ロバーズ主演でミック・ジャガーが助手役だったそうで、そのパイロット版?が少し見られます。これは興味深いシーンです。
ジェーソン・ロバーズといったらサム・ペキンパー監督の風変わりなウエスタン『砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード』(70年)があります。これはアクションは控えめですがウエスタンの傑作です。
『フィツカラルド』に出てたクラウディア・カルディナーレと話しをするヴェルナー・ヘルツォーク監督。歳を取っても女優さんなので宝石や服が派手です。
ここではちゃんとアマゾンでロケしてたと言ってます。
『コブラ・ヴェルデ』(88年)の話しをするヴェルナー・ヘルツォーク監督。ホントにアフリカロケをやっていたようです。クラウス・キンスキーは自分の作品『パガニーニ』(89年)に入れ込んでいたとのことです。
ラストには蝶を遊ぶクラウス・キンスキーの映像があります。蝶の扱いは上手く出来きてます。意外と繊細な人なのですね。
そんなわけで結構言いたい放題のヴェルナー・ヘルツォーク監督が面白いよい作品でした。
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