『四つ数えろ』(1982年)
この作品は1940年代のフィルムノワールを寄せ集めたフィルム・ノワール風コメディです。
正式な邦題は『スティーブ・マーティンの四つ数えろ』らしいけど最初に名前が付く邦題は嫌いなのでこの邦題にしておきます。
最初に名前を付けるとその作品が思いきり安くなるような感じがして嫌いなのです。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1982年 ウィリアム・E・マックユーエン デビッド・V・ピッカー・プロ/アスペン・フィルム・ソサエティ/ユニバーサル・ピクチャーズ アメリカ作品
ランニング・タイム◆88分
原題◆Dead Men Don't Wear Plaid
プロット◆謎の陰謀を追う話しのようです。
音楽◆ミクロス・ローザ
ユニバーサル・ピクチャーズ発売のDVDにて。画質は非常によいです。以前買った低画質のLDとは比べ物になりません。
キャスト
スティーブ・マーティン→私立探偵のレアドン
レイチェル・ウォード→依頼人のジュリエット・フォレスト
カール・ライナー→フォレスト家の執事その他
レニ・サントーニ→島警察のカルロス・ロドリゲス
カール・ライナー監督の演出はよいと思います。出演もしています。
脚本は3人がかりで過去の作品を寄せ集めて一本に仕立て上げています。色々な作品のショットをつないでつじつまを合わせるのが脚本家の腕の見せ所になります。腕前はよいになるでしょう。ラストのクレジットではスクリプト・スーパーバイザー?だっけ。そんな役割もあったくらいです。
過去の作品に対してそれなりに敬意を払っているようなので見てて不快にはなりません。
編集も腕の見せ所で編集により同じショットでもつなぎ方で意味が変わるクレショフ効果の実例が見れます。
ラストに至る伏線がギャグになっています。私立探偵レアドンはクリーニングウーマン=家政婦という言葉に対するトラウマでこれを聞くと凶暴になるのがポイントになっています。この時の音楽が1940年代のニューロティックスリラー風になっています。テルミンが使われていると思われます。
衣装デザインは有名なイディス・ヘッド。
1940年代のL.A.が舞台のようです。新聞の見出しになっているMLBのドジャースはL.A.ではなくまだブルックリンではなかったのかと疑問も出ます。
ドジャースは1958年に同じN.Y.のジャイアンツを巻きこんで西海岸に進出します。
自分とこは気候のいいL.A.で、ジャイアンツには雨が多く寒いS.F.をあてがい、その後この対戦は因縁シリーズとなっています。これは嘘です。
プロローグ。
雨の中クルマが走り事故ります。ミニチュア使用。
ジョン・フォレスト博士は死亡とのことです。
スティーブ・マーティン扮する私立探偵レアドンの事務所にレイチェル・ウォード扮する依頼人の女性ジュリエット・フォレストが訪ねてきます。新聞記事を見出しを見て気を失う依頼人ジュリエットにいたずらする私立探偵レアドン。いきなり下品になります。
ところでジャバって何?→コーヒーなの?
とにかく依頼を受けてジョン・フォレスト博士の事務所に向かう私立探偵レアドン。
家捜ししているとこに『This Gun for Hire=拳銃貸します』(1942年)の殺し屋アラン・ラッドが登場します。撃たれる私立探偵レアドン。
依頼人のフォレスト家にたどり着くが倒れます。カール・ライナー扮する不親切な怪しい執事がいます。
ジュリエットに弾を抜いてもらいます。
ジュリエットの姉に電話をかける私立探偵レアドン。
『私は殺される』(1948年)のバーバラ・スタンウィック登場。
ここでクリーニングウーマン=家政婦の発作を起こす私立探偵レアドン。
同じく1940年代に流行っていたニューロティックスリラーとなりテルミンの音が鳴り響きます。
姉の夫に会いに行く私立探偵レアドン。
『失われた週末』(1945年)のレイ・ミランドが登場。
酒場のピアノのキティに会いに行く私立探偵レアドン。
『殺人者』(1946年)のエバ・ガードナー登場。
レストランでスープに入ってるブローチを手に入れる私立探偵レアドン。
スイードのアパートを訪ねる私立探偵レアドン。
『殺人者』(1946年)のバート・ランカスター登場。
ここでまたジャバのネタがあります。わけわからん。
殺し屋2人が現れ撃ちまくります。撃たれる私立探偵レアドン。
事務所でジュリエットにまた弾を抜いてもらいます。
マーロウに電話する私立探偵レアドン。
『三つ数えろ』(1946年)のハンフリー・ボガート登場。
ジュリエットのセリフで「用があったら電話して」があります。
マーロウが事務所に来ます。
多分『孤独な場所で』(1950年)のハンフリー・ボガートだと思います。
駅にて1936のロッカーを調べる私立探偵レアドン。
尾行に気付いて巻こうするが失敗します。
列車にて『断崖』(1941年)のケイリー・グラントが登場。
ハーモニカで眠らせる私立探偵レアドン。よくわからんネタです。
パーティに潜入する私立探偵レアドン。
『汚名』(1946年)のイングリッド・バーグマンが登場。
2人の会話では画調が極端に違う切り返しシーンはご愛嬌となります。
事務所にて。ヒザをすりむいている私立探偵レアドン。
ジュリエットと事件について話します。
『三つ数えろ』(1946年)のマーロウから電話もあります。
なりゆきでジュリエットのことを飯のタネ=ミールチケットと言ってしまい激しく後悔する私立探偵レアドン。怒ったジュリエットはレアドンをひっぱたきます。
次の参考人を調べるのにブロンド美人を調達しなければと思案する私立探偵レアドン。手当たり次第会いに行きます。
『The Glass Key』(1942年)のベロニカ・レイク登場。断られます。
『愛憎の曲』(1946年)のベティ・デイビス登場。発作を起こして失敗します。
次にラナ・ターナーが登場。何の作品がよくわかりません。『Johnny Eager』(1942年)、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1946年)
父役で『Johnny Eager』(1942年)のエドワード・アーノルド登場。下ネタがあります。
『I Walk Alone=暗黒街の復讐』(1947年)のカーク・ダグラスが登場して手下3人に命じ私立探偵レアドンにヤキを入れさせます。
ドラム缶に放り込まれる私立探偵レアドン。成り行きで捜しに来たジュリエットを殴打します。本人は気がついていない。
ブロンド美人は自分でやることにする私立探偵レアドン。
参考人で『深夜の告白』(1944年)のフレッド・マクマレーが登場。
コンタクトを計りスーパーマーケットからアパートに突入します。
今度は刑務所にて参考人の母親になりすますためにまた女装して『白熱』(1949年)のジェームズ・キャグニーに面会する私立探偵レアドン。
その後脱走に巻きこまれてクルマのトランクに詰め込まれる私立探偵レアドン。
トランクのドア越しに撃たれます。オートマティックのハンドガンを撃ちますがここで空薬莢が排出されるオートマティックの作動状態がよく見えます。
事務所にて。
ジュリエットにまた弾を抜いてもらう私立探偵レアドン。
ラブシーンになりかかる。中断してすれ違いがありジュリエットは事務所から去ります。
すれ違いの原因となる電話で『ユーモレスク』(1946年)のジョーン・クロフォードが登場。
失意で酒浸りとなる私立探偵レアドン。
マーロウから電話があります。このハンフリー・ボガートは『潜行者』(1947年)のようです。
カルロッタ島の話しを聞きます。
カルロッタ島です。
酒場で『賄賂』(1949年)のエバ・ガードナーが登場。
何故か『ダーティハリー』(1971年)でのハリーの相棒役が1番有名なレニ・サントーニが妙に明るいオヤジキャラで登場。丸っきり別人です。
『賄賂』(1949年)のチャールズ・ロートン登場。
ホテルにて『賄賂』(1949年)のエバ・ガードナーと会う私立探偵レアドン。
薬入りの酒で眠らされます。ろれつが回らずエセル・マーマンネタのギャグがあります。
寝てるとこを『賄賂』(1949年)のビンセント・プライスが登場して襲われる私立探偵レアドン。枕を顔に押し付けられます。そんなこんなで逃げるビンセント・プライス、追う私立探偵レアドン。
祭りで花火の中を追跡となります。レニ・サントーニのキャラのパジャマネタがしつこい。
ビンセント・プライスをかたづける私立探偵レアドン。
研究所に侵入する私立探偵レアドン。
クライマックスで謎の説明の主導権争いをするスティーブ・マーティンの私立探偵レアドンとカール・ライナーの元執事。これはギャグのようです。
過去の作品から出ているスター達です。
殺し屋のアラン・ラッド◆『This Gun for Hire=拳銃貸します』(1942年)
博士の愛人?キティのエバ・ガードナー◆『殺人者』(1946年)
鬱気味で電話のバーバラ・スタンウィック◆被害者役の『私は殺される』(1948年)です。加害者役で出演してる『深夜の告白』(1944年)のシーンはありませんでした。被害者と加害者のキャラが違いすぎるのこれは賢明なことなのでしょう。
アル中のレイ・ミランド◆『失われた週末』(1945年)のアル中演技でアカデミー賞をもらうことになります。でも私はミランドといったらニコニコしながら殺し屋を雇う『ダイヤルMを廻せ!』(1954年)が1番です。
ピアノのエバ・ガードナー◆『殺人者』(1946年)
ベッドのスイード=バート・ランカスター◆『殺人者』(1946年)
フィリップ・マーローのハンフリー・ボガート◆『三つ数えろ』(1946年)だけではなくて『孤独な場所で』(1950年)もありました。他に『潜行者』(1947年)
列車で眠るケイリー・グラント◆『断崖』(1941年)
パーティのイングリッド・バーグマン◆『汚名』(1946年)
イエスとは言わないベロニカ・レイク◆『The Glass Key』(1942年)
首を絞められるベティ・デイビス◆『愛憎の曲』(1946年)で首を締めてからは頼み事は出来ないとなっていました。
車内のラナ・ターナー◆『Johnny Eager』(1942年)、『『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1946年)
怒りまくるエドワード・アーノルド◆『Johnny Eager』(1942年)
ギャングのカーク・ダグラス◆『I Walk Alone=暗黒街の復讐』(1947年)カーク・ダグラスの企業ギャングとバート・ランカスターのムショを出たばかりの昔かたぎのギャングが対立する話しのようです。
スーパーマーケットのフレッド・マクマレー◆『深夜の告白』(1944年)です。
刑務所で母と面会のジェームズ・キャグニー◆『白熱』(1949年)です。マザコンで頭痛持ちで自爆するギャングを熱演します。
電話のジョーン・クロフォード◆『ユーモレスク』(1946年)
汗っかきのチャールズ・ロートン◆『賄賂』(1949年)とのとこ。やっぱり演技がクドイ。
ホテル204号室のエバ・ガードナー◆『賄賂』(1949年)
首を絞めるビンセント・プライス◆『賄賂』(1949年)
ジョーン・クロフォードを出すくらいならジョーン・ベネット、ジーン・ティアニー、アイダ・ルピノ、リザベス・スコット、エラ・レインズ等のフィルム・ノワールな女優さんを出してほしいものです。
スティーブ・マーティン扮する探偵のレアドンのナレーションで話しが進行するフィルム・ノワールのスタイルになっています。『三つ数えろ』並みの何が謎なのかわからんくらいの話しです。
ヒロインのレイチェル・ウォードで特技は弾丸の摘出。
「用があったら電話して」のセリフがあります。ハスキーな声が素敵です。これは『脱出』(1945年)のローレン・バコールの「用があったら口笛吹いて」からでしょう。
ボリュームたっぷりのグラマーぶり。これでブロンドだったらスペースオペラになるくらいです。だから赤毛だかブルネットでバランスが取れているのでしょう。この人の旦那がブランアン・ブラウンだったような。まだ続いているのかな?
何故か出ている『ダーティハリー』(1971年)がこれ1本のレニ・サントーニ。ホントにこの人があのハリーの相棒なのかと思えるラテンオヤジキャラです。ホントに同じ人には見えない。
そんなわけで1940年代好きにはよい作品でした。この作品とサム・ライミ監督の『XYZマーダーズ』(1985年)とあわせて1980年代に製作された1940年代物2本立てでお勧めとなります。
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