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2005.03.05

『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1946年)

私の大好きな1940年代のフィルム・ノワール作品です。
で、この作品はフィムル・ノワール物で名高いので見ました。お楽しみにはしていましたが1940年代当時の倫理コードでの検閲で話しやディテールは骨抜きになっているかもしれないし製作元が甘い作品ばかりのMGMだしと余計な期待はしないでフィムル・ノワールの雰囲気だけでもいいやと思い見ました。
ジェームズ・M・ケインの原作は未読です。
『深夜の告白』(1944年)も映画は見てるけど原作は未読だったりします。
なおこの文はネタバレ全開となっています。

1946年 MGM アメリカ作品
ランニング・タイム◆113分
原題◆The Postman Always Rings Twice
プロット◆何というか、ある境界線上をふらふらする2人の話しのようです。
音楽◆ジョージ・ベイスマン
ワーナー発売のDVDにて。画質は非常によいです。

キャスト
ラナ・ターナー→ヒロインのコーラ
ジョン・ガーフィールド→プータローのフランク
セシル・ケラウェイ→主人のニック
レオン・エイムス→地方検事のサケット
ヒューム・クローニン→弁護士のキーツ
オードリー・トッター→ブロンドの女マッジ
アラン・リード→太った男ケネディ
→出番の多い白バイ警官

テイ・ガーネット監督の演出はよいと思います。
タイトルバックはジェームズ・M・ケインの原作本を強調したデザインになっています。

L.A.からサンディエゴの途中でヒッチハイクのクルマから降りたのがジョン・ガーフィールド扮するプータローな男が登場します。
白バイ警官の行動で乗ってたクルマの持ち主が地方検事とわかります。これは伏線になっていたようです。
降りたとこにある食堂兼ガソリンスタンドの主人に声をかけられます。話しは早い。

さっそくラナ・ターナー扮するヒロインのコーラが登場します。
白いトップにショートパンツ。当時としては大胆な服装です。
いきなりコーラにキスをするフランク。キスが終ったら口紅を塗り直すコーラです。厳しい倫理コードによる事前検閲があるので当然2人のキッチンセックスなんてありません。

TWIN OAKSという名の食堂兼ガソリンスタンドです。
木製の看板が壊れてネオンサインにします。下段には横並びで、ランチ-ブレックファースト-ディナーの順番となっています。時間順ではなくブレックファーストを真ん中に入れるのが洒落ています。
ニックのギター演奏からジュークボックスの音楽で踊るコーラとフランク。

海に行って泳ぐコーラとフランク。
コーラは白い水着です、とはいえ1940年代の水着なのでそれなりのデザインとなっています。
解説によると1部のシーンを除いてコーラは白い服装で通しているそうです。食堂で働く時は白い制服を着ています。

駆け落ちをするコーラとフランク。
レジに置き手紙を入れています。
ハイウェイを歩くのに疲れてコーラは戻ります。2人して戻ったとこでニックが帰宅してトランクのことでもめます。

途中からジョン・ガーフィールドのモロローグのナレーションが入ってフィルム・ノワールらしい雰囲気となります。

2人はニック殺しの計画を始めます。
ベアリング球を詰めた布袋が凶器のようです。これで殴打すれば跡も残らない筈です。
決行の晩になりますが予定通りに行かず白バイ警官が来たり猫がハシゴを登ったりと色々とあり肝心の殺人シーンは省略されてます。殴打したとこを猫が配電盤に触れて停電となり予定外の展開となります。気の毒な猫は感電死します。
ニックは死なずに病院送りとなります。
病院に最初に出ていた地方検事のサケットがやって来て取り調べ開始となります。

コーラとフランクが帰宅したとこで白バイ警官と地方検事がやって来ます。白バイ警官は猫好きのようです。
この辺からコーラとフランクは根っからの犯罪者ではないように描写されています。
ボブ・ラファエルソン監督の『郵便配達は二度ベルを鳴らす』1981年版は原作に忠実だそうですがキャストがキャストなので見てて根っからのプロの犯罪者でどんな凄惨なラストになっても自業自得ではないかいとなりそうで感情移入を妨げるキャスティングということになります。実はラファエルソン監督の『ファイブ・イージー・ピーセス』(70年)を途中で見るのをやめたこともありこの監督もあまり好きではなかったりします。

ニックは助かると電話があります。
白バイ警官はまた出ています。やっぱり猫が好き。
ニックが病院から戻るのでフランクは1人でここを出ることにしますが近くを市場をうろついているとこをニックに連れ戻されます。

このままと思ったら状況が変わります。ニックは店を売り払って病気の姉の世話をするためにカナダの行くと言います。コーラは世界の果てまで行って死にかけの女の世話をするなんて嫌だとなってます。

店の買い取りの話しで3人でサンタバーバラに行く途中のマリブ湖の山道でクルマがオーバーヒートで止まったとこでニックをビンで殴打してクルマを崖下に落とそうとしますが途中で止まったのでまた落とそうとしたらフランクも一緒に落ちて病院送りとなります。この件でニックは死に至ります。
このシーンはミニチュアを使用していました。山道を行くクルマのロングや転落のシーンです。何故か見覚えがあるような気がします。
こだまのことを日本語字幕ではエコーとなっていました。このエコーを面白く使っています。殴打されてもエコーは残っていたり。2人とも落ちたので本気で助けを求めるコーラの声がエコーしていたりと。

実は出発する時にいた地方検事が尾行してて犯行現場を丁度通りかかります。当然疑われていることになります。

病院で地方検事の取り調べを受けるフランク。ニックに10000ドルの保険がかかっていることを知らなかったとのこと。ここで地方検事からゆさぶりをかけられて起訴状にサインをしてしまいます。
次に登場するのはヒューム・クローニン扮するコーラの弁護士キーツです。こちらも一癖ありそうな男です。

キャラがそろったとこで法廷シーンとなります。アメリカ映画は法廷シーンとなると妙に面白くなります。
開始早々にキーツ弁護士の戦術で休廷となり控室で一悶着ありコーラが供述書を作り2人とも有罪となるとこがキーツ弁護士の策略で供述書は検事側には渡らないことになります。
そんなこんなで検事と弁護士は司法取引きとなりコーラは執行猶予となります。とりあえず逃げ切ったことになります。

食堂にてコーラとフランクは10000ドルの保険金を受け取りキーツ弁護士を帰り一安心となります。
ですがコーラとフランクは仲たがいとなりつつあります。
裁判で有名になって酒類販売許可証をとり店の方は繁盛します。

コーラの母が危篤で1週間留守となります。フランクは東ロサンゼルス駅で見送りを済ませたらすぐにナンパしています。
相手はブロンドのマッジ。演ずるのはオードリー・トッター。IMDbで調べたら『罠』(1949年)のヒロインを務めていました。この作品は見ています。ロバート・ライアンの主演が渋いよい作品でした。

コーラが戻ったとこで供述書をタイプしていた太った男ケネディがやって来て供述書を15000ドルで買えとゆすります。
ここはフランクがハードボイルドに徹して見事に追い返します。ここだけが1940年代にしてはバイオレンス度が高くてやたらと暴力シーンが多くなっています。検閲はどうした。

今度はフランクの浮気があっさりとバレていてコーラと一悶着あります。話しに飽きがこないようになっています。
タクシーを呼んで出て行こうしていたコーラ。フランクが止めます。
海に行くフランクとコーラ。沖まで泳いで戻ります。これで仲が戻ったとこでクルマで帰宅する途中で事故ります。フランクの故意ではありません。死体を見せず口紅が転がり落ちる典型的なフィルム・ノワール描写でコーラが死亡したことがわかります。

執念深い地方検事はフランクをコーラ殺人容疑で逮捕してガス室送りにします。あのタクシーで出て行く時にレジの奥に残したコーラの手紙でニック殺しのことが書かれていたと知らされます。コーラ殺しは免れてもニック殺しでどららにしろ有罪になるらしい。

ラストで神父に最後の告白するフランク。警告のベルが鳴る?
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の意味が語られます。それは自分に対しての神の警告か?虫の知らせ?で一度目は無視してもまた来るということらしい。二度無視したからこうなったということなのか?
お手軽な宗教に救われるというだけでにはしていないようでタイトルの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』にからめて一応フランクが自分也にロジックを考えて納得していました。
そんなわけでこれはまた上手いオチを考えついたもので各所に配慮が行き届いた描写バランスとなっています。原作もそんなにはスポイルしていないでしょう。
検閲の裏を書こうと頭を絞って脚本を仕上げているようです。「必要は発明の母」ということわざがピタリと当てはまります。
このことわざの映画的バリエーションで「検閲は映画描写を洗練させる」となりそうです。念のためですがこれは脚本家や監督に才能があればの場合でボンクラな人達は検閲があろうとなかろうと駄作しか作れません。

ジョン・ガーフィールドは好演しています。
ラナ・ターナーのちゃんと演技しているのは初めて見たような。→と思ったら『悪人と美女』(1952年)を見てた。1937年デビューとのことです。
弁護士キーツを演じるヒューム・クローニンは実生活ではジェシカ・タンディの旦那でアルフレッド・ヒッチコック監督の友人ということでヒッチコック監督の映画にも出ています。

原作のおかげなのか話は面白い。そんなわけで名高いだけはあるフィルム・ノワールのよい作品でした。

フィルム・ノワールとは一般的には1940年代から1950年代頃までのモノクロの犯罪映画となっています。ですが実際はかなり範囲が広くなっているジャンルです。


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