『ヒズ・ガール・フライデー』(1940年)
私の大好きな作品の感想です。ハワード・ホークス監督、ケイリー・グラント、ロザリンド・ラッセル主演のマシンガントークが最高なロマンティック・コメディです。セリフを聞いてるだけで気持ちがいい。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1940年 コロンビア・ピクチャーズ アメリカ作品
原題◆His Girl Friday
ソニーピクチャーズ発売なので思い切って買ったDVDにて。少し粒子が粗いけどよい画質となっています。
プロット 結局2人のよりが戻る話のようです。
キャスト
ケイリー・グラント→編集長のウォルター・バーンズ
ロザリンド・ラッセル→元新聞記者を目指すヒルディ・ジョンソン
ラルフ・ベラミー→堅実な保険屋ブルース・ボールドウィン
ジョン・クェイレン→死刑囚アール・ウィリアムズ
ヘレン・マック→死刑囚の恋人になっているモリー・マロイ
ジーン・ロックハート→ピート・ハートウェル署長=ピンキー
パット・ウエスト→留置場担当のクーレイ
クラレンス・コルブ→選挙の為なら親でも殺す市長
ビリー・ギルバート→延命命令書を持ってきたペティボーン
フランク・オース→編集室の記者ダフィー
アブナー・バイバーマン→ウォルターの手下ルイ
マリオン・マーティン→ウォルターのブロンドの手下ビンジー
アルマ・クルーガー→うるさそうなブルースの母
裁判所内の記者室詰めの新聞記者達は結構いい俳優を使っているようです。顔と名前が一致しないのでキャストがわからん。レジス・トゥーミーは知ってる名前です。
ポーター・ホール→マーフィ記者
アーネスト・トラックス→机の持ち主でトリビューン紙のベンシンガー記者
クリフ・エドワース→エンディコット記者
ロスコー・カーンズ→マッキュー記者
フランク・ジェンクス→ウィルソン記者
レジス・トゥーミー→サンダース記者
ハワード・ホークス監督の演出はよいと思います。
シカゴが舞台のようですが全編室内セットなのでどこが舞台でも関係ないようです。元は舞台劇なのでキャラの出し入れはちゃんとしています。
かなり昔に出ていた芳賀書店のケイリー・グラントの本での邦題はHis GirlFriday=『彼の忠実な女性』となっていました。これは意訳のいい例なのもしれません。FridayとはRobinson Crusoの忠僕の名前でそこから忠実で有能という意味になっているようです。
girl Fridayになると《重宝で広範囲の仕事を任せられた》女性秘書[事務員, 補佐]ということのようです。そうなるともう少し変えて邦題は『彼の有能な女性』となるようです。これだよさそう。忠実な〜では差別的な感じになるので有能な〜の方ががいいとなります。
前説の字幕から勤め先モーニング・ポスト誌の編集長ウォルターに結婚の報告に来るヒルディ。婚約者ブルースと2人で来ますが会う時は1人です。1対1となるわけです。
社内入ったとこでヒルディはこのモーニング・ポスト誌の花形記者ということが描写されます。これはかなりわざとらしいけどいい感じです。
会社に来るのが4ヶ月ぶりらしいヒルディ。
ヒルディは編集長ウォルターの会話で女子大を出て5年とわかります。
ウォルターがブルースを無視しようとわざと人間違いをするギャグがあります。
ウォルターの案内で無理やり一緒に昼食を取る3人。
ブルースがウォルターのことを悪い人ではないのではと言いますがヒルディが「ウォルターの先祖はヘビだから騙すのが上手なの」とかまします。このセリフはお気に入りです。この作品は全編このようなセリフばっかりです。
ヒルディとウォルターはタバコを吸うがブルースは吸わないようです。これだけでも3人のキャラクターを表わしています。
そこで今日の午後4時発の寝台列車で出発するとなっています。この時点ではあと2時間となっています。
ウォルターはヒルディに記者の仕事をさせようと口車と小細工に励みます。保険に入るから今回だけ取材してくれと頼み込み、そのようになります。
裁判所の記者室に最後の仕事に来るヒルディ。
ヒルディの衣装が変わっています。
記者仲間にこの仕事が最後と挨拶をします。ヒルディは記者として認められているように描写されています。見てて気持ちいい。
モーニング・ポスト誌の編集長室にて男2人。
保険に入る手続きをしています。ここで何とかブルースを足止めさせようと画策するウォルターの図となっています。→ブルースは簡単に足止めされてしまいます。
裁判所で死刑囚アールと面会するヒルディ。
おカネをやって面会となります。アールの話しを聞きます。
裁判所の記者室に戻ってきたとこでブルースから捕まったと電話があってヒ
ルディは警察へと行きます。時計を盗んだとウォルターの手下ルイが訴えて捕まったとのこと。凄い勢いで出て行くヒルディのことを記者連中が「母ライオンが云々」と言っているのがまたよいのです。
警察から記者室に戻って電話でウォルターに怒るヒルディ。これがいい怒りっぷりなのです。見事なマシンガントークとなっています。
記者達に別れの挨拶をしているとこに死刑囚が脱獄したとなり記者室が騒然とします。
電話に飛びつく記者達。ここで電話する記者達のクローズアップショットを続ける手法がありるす。
『赤い河』(48年)でもカウボーイ達がキャトルドライブに出発するシーンで同じ手法がありました。この効果のほどはよく分からんけど。
ここでジーン・ロックハート扮するピート・ハートウェル署長が登場します。記者達からはバカにされていてあだ名のピンキーと呼ぶなというのが口癖。コネで仕事に付いているからバカにされているようです。
脱獄騒ぎでまた仕事に戻るヒルディ。
面会係のクーレイを走って捕まえて情報を得ます。
記者達の話しであれもこれもコネで仕事にありついてる連中が多いと色々と名が上がっていました。いつの時代でもどこでもやることは同じらしい。
今度はわいせつ罪で捕まるブルース。
タクシーでヒルディを待っているとこにウォルターはブロンドの手下ビンジーを送ります。そんなわけでブルースはまた捕まります。
ここで指示を出すウォルターがブルースはどんな奴と聞かれると「ラルフ・ベラミーみたいな奴だ」という楽屋オチのギャグがあります。ブルースはラルフ・ベラミーが演じているのです。このギャグは私のお気に入りです。
知事からの手紙を届けに来る図。
死刑囚アールの死刑延期の知らせなので予定通りに死刑にしたい市長は手紙を届けに来た男を高給で役所の仕事をやるから手紙はなかったことに買収をしかけます。仕事も転校する子供の成績を保証するときます。
記者室にやって来る死刑囚アールとヒルディ。
書き物机の中にアールを隠れさせます。ヒルディはウォルターへの報告とブルースへの指示?で電話2本を同時にこなします。そんなとこに記者達が戻ってきて身動きがとれなくなります。
ウォルターがやって来てヒルディに仕事をさせようと口車を全開にします。遅れてブルースがやって来て、仕事か9時の寝台列車かとヒルディに問い詰めます。ここが一つの山となっているようです。
そんなこんなで事件は解決?となり、ウォルターはヒルディにブルースのとこに行けといいますが実はそうではなくまた仕事に行く2人というオチとなります。このラストもご都合主義との見方もあるようです。そんなことはないは思います。
主演のキャスト3人は非常に魅力的でした。
ケイリー・グラントの多量のセリフを早口で喋るセリフ回しは超人的です。歌うように喋るとはこのことをいうのだと思います。まさにマシンガントークです。
このマシンガントークはお見事で聞いてるだけでいい。英語の響きがいいこと。それに加えてダブルのスーツをカッコよく着こなしていいものです。
ヒロインのロザリンド・ラッセルもカッコいいキャリアウーマンぶりです。
男の記者の中に入っても違和感がないのはよいです。現代でも無理がある設定なのを映画の中とはいえ1940年当時でこなすのがまたよい。
ケイリー・グラントに負けずに喋りまくりるロザリンド・ラッセル、好演しています。
ロザリンド・ラッセル扮するヒルディの衣装ですが最初は黒地に細かいストライプが入った帽子にコート。ストライプのコートの下は黒いワンピースでした。ニットのようです。
セリフで着替えると言ってて、昼食の後で裁判所に行ったらここで衣装が変わって黒地に間隔の空いている白の細いストライプ入ったジャケットにタイトスカートです。やたらストライプに凝ってるけど何かの象徴なの?→これは当時のキャリアウーマンの典型的な衣装のようです。
こう見ると典型的なホークスヒロインです。スラッとしてて押しが強くて口車が回って、でもラストにはヒーローを立てる典型的なホークスヒロインです。
堅実な保険屋を演じるラルフ・ベラミーは結構いい。セリフを結構あります。二人に負けず早口でもあります。
そんなわけでマシンガントークが堪能出来るロマンティック・コメディの傑作です。
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やっとこの映画を観ました。本当に心地良いケイリー・グラントのマシンガントークですね。それにしても、新聞記者という仕事は嫌な仕事ですね。まるで警察がする仕事も新聞記者がやると言うのは、よくある映画のパターンですね。
それにしても、題名の意味が実は良くわからなかったのですが、流石はロイ・フェイスさんですね。フライデーは金曜日しか思い浮かばなかった僕は馬鹿ですね。しかし、ロイ・フェイスさんも触れていますが、もう少し邦題を考えて欲しかったですね。
そして、この映画を紹介してくれてありがとうございました。もし紹介されていなかったら、一生見逃していたと思います。
でも、本当に面白い映画でした。
投稿: ディープインパクト | 2008.06.21 18:53