『風の谷のナウシカ』(1984年)
この作品は宮崎駿監督の巻き込まれ型戦争映画です。私はそう思います。
私の大好きな作品ではないのですが無視は出来ないので書いた感想です。聖典ではないので普通に見ましょう。
なおこの文はネタバレ全開となっています。
1984年 トップクラフト/徳間書店/博報堂 日本作品
ランニング・タイム◆116分
プロット◆2国間の戦争、最終生物兵器の巨神兵の争奪戦に巻き込まれる話しのようです。
音楽◆久石譲
ブエナ・ビスタ発売のDVDにて。画質はよいです。
始まる前に暗いとこでは見ないように云々と余計なお世話なアラートが出ます。
音楽はモノラルのままでした。ステレオの方がよかったような。
音声もモノラルのままでした。これはドルビーデジタル5.1chにすべきです、日本には有能な音響監督がいるのですから絶対にその方は効果は出ます。ドルビーデジタル5.1chの特性を生かしたサウンドデザインで風の効果音なんか聞きたいものです。もしかして誰も宮崎監督を説得出来なかったのかもしれません。
そもそもオリジナルVCによるセリフのみのサウンドトラックが残っていなければ5.1ch化も全く無意味になりますけど。VCが替わると全く別の作品となります。
DVDは実をいうとあまり買う気はなかったけど、どうせ買うだろうとすぐに買いました。本編にしか興味がないので通常版です。
画質と音質がイマイチで9800円もした徳間書店発売のLDは買ってあります。
この作品は最初はよかったのですが何回か見てるうちにボルテージが下がってしまいました。原因の方がよくわからんのです。
キャスト→VC
風の谷の王女ナウシカ→島本須美
風の谷の領主ジル→辻村真人
風の谷の臣下ミト→永井一郎
風の谷の大ババ→京田尚子
浪人の剣士ユパ→納谷悟朗
風の谷の老人ゴル→宮内幸平
風の谷の老人ギックリ→八奈見乗児
風の谷の老人ニガ→矢田稔
トルメキアの王女クシャナ→榊原良子
トルメキアの参謀クロトワ→家弓家正
ペジテのアスベル→松田洋治
死んだペジテのラステル→冨永みーな
ペジテ市長→寺田誠
ラステルの母→坪井章子
宮崎駿監督の演出はよいと思います。
全体的に説明セリフが多いような。全く違う世界の内容なので仕方がないのかもしれませんが多いものは多いです。
意外とナウシカのセリフが書き込まれていないような感じもします。これは単に印象だけのことです。いつも「風が・・・」と同じなのが不満がつのります。少しずつ変えた方がいいように思えます。
ユーモアがホトンドないのが難です。ユーモアはいらないのかもしれません。ユーモアといえばじいさん3人で戦車を占拠するとこがそれらしいが見ている方がそれどころではないでしょうと思えてしまいます。
ロマンティックではないのも難です。戦争でそれどころではないだろうといえばその通りなのですけど。
2国間の戦争と子供の頃に別れたオームとの再会が一緒になっているので見てて涙で戦争が解決すると勘違いしそうです。ここがイマイチなとこなのかもしれません。
根本的な問題が未解決なストーリー。ナウシカの威光が薄れたら、また元の木阿弥になるのではと心配性の私は後々のことを考えるとイマイチ不安になります。
全体の流れとしては、
→ペジテが1000年前の最終兵器の巨神兵を掘り出した。
→トルメキアがペジテを攻撃し占領して輸送機で巨神兵をトルメキアに空輸しようとする。同じ輸送機でペジテの王女ラステルも捕虜としてトルメキアに送る。
→その輸送機が風の谷に墜落する。
→トルメキアが風の谷を攻略して占領する。巨神兵を復活させる作業を行う。
→ペジテは腐海のオームの群れを使いペジテを占領しているトルメキア軍を攻撃させる。
→風の谷にてオームの群れの前にナウシカが立つ。
ナウシカが腐海を探索してオームの抜け殻を発見してから戦争に巻き込まれてラストにそのオームの抜け殻を運ぶ風の谷の人々が描写されています。この間に色々とあったということです。
巨神兵が落ちたせいでトルメキアとペジテの戦争に巻き込まれる風の谷となっているようです。
プロローグ、村が死んだと嘆くユパ。
タイトルとなります。最終生物兵器の巨神兵が出たりしてます。自翔式ハングライダーのメーヴェが飛ぶシーンもあります。
メーヴェからつながって本編が始まります。
腐海を探索するナウシカ。マスクをしないと危険とのことですが、目はゴーグル無しの裸眼で大丈夫なの?見てて余計な心配をしてしまいます。
見たところナウシカの使う小銃は単発式のボルトアクションで、薬莢式ですが発火はフリントロックのようです。これであってますか?
怒ったオームを収めるナウシカ。
オームは怒ると普段は青い目が赤くなるようです。
風の谷にくるユパ。
平民の描写が何というか無知で愚かに見えます。こまったものです。
夜、未明近くに巨大輸送機が風の谷に接近してきます。
ナウシカがメーヴェで接近して誘導を試みますが輸送機は墜落します。地上に降りたナウシカは捕虜の女性を発見します。ペジテのラステルと名乗る女性は死亡します。燃やして欲しい積み荷とは?と話しは進む。
輸送機に取りついていたウシアブを腐海へと誘導するナウシカ。
虫笛を使い誘導します。これは緊張感もあり素晴らしいシーンです。
ウシアブはオームの元に戻ります。ウシアブはオームに寄生しているようです。
腐海にてオームは対峙するナウシカ。オームが向きを変えるとこを動画で描写していますが動画ではクオリティが大幅に落ちています。ここは何とかならなかったものか。引きでは無理なのか。現在の技術なら何とかなりそうですが。
風の谷では謎の物体が燃え残ります。これは何だ?と話しは進む。
風の谷にトルメキア機群がやってきます。
一波乱ありますが、あっという間に風の谷は占領されます。
謎の物体は巨神兵ということでトルメキア軍はそれの再生作業に取りかかります。巨神兵とは生物兵器の一種なのか?
トルメキアのクシャナが口上を述べます。
大ババが反論して一騒ぎとなります。説明セリフが多い。
交渉らしきことが行われてナウシカはトルメキア軍が占領しているペジテへと送られることになります。ナウシカはペジテのラステルのように手錠がかけられないだけまだマシなのかも。
トルメキア軍機が風の谷から飛び立ちます。
異常に接近して飛ぶトルメキア軍機が5機。輸送機4機に戦闘機にあたるコルベットが1機の編隊となっています。
ここで太陽の方向からペジテ軍ガンシップが攻撃をしかけてきます。太陽の方向からというのは古典的な空中戦の攻撃方法です。
トルメキア軍輸送機はあっさりと全機撃墜となります。ナウシカは搭載されていた風の谷ガンシップに乗り移り。ナウシカとミト、ついでにクシャナが脱出します。
輸送機に引かれていた風の谷所有のグライダーを捜索する風の谷ガンシップのナウシカ。発見してワイヤーをつなぐために着水します。着水したとこでクシャナは一悶着あったとこで、オームの群れが浮上してきてそれどころではなくなります。
そのオームと交渉するナウシカ。オームが触手を伸ばしナウシカを包み調べます。ここでナウシカの回想となります。
突然にオーム達が怒り出して去ります。それをメーヴェで追うナウシカ。残りは上空で待機して時間が過ぎたら風の谷に向かうことになります。
虫に襲われているアスベルを助けるナウシカ。
LDはこのへんの妙なとこで切り換えていました。
虫からは逃れたけどメーヴェにダメージを受け腐海の底に沈む気絶したナウシカとアスベル。
昔の夢を見るナウシカ。オームの子を隠していたのが見つかる図。
夢から覚めたナウシカは輸送機を全滅させて腐海では虫を撃ちまくった割には妙に素直で陽気なアスベルと話しをします。アスベルは死んだラステルと双子ということがわかります。アスベルはナウシカと対等のキャラではないようです。要するにナウシカの恋人にはなれないようです。
ここのシーンは腐海の底のナウシカ、つかの間の休息といった感じです。
風の谷ではクシャナ不在のとこで巨神兵の復活途中です。
今現在では風の谷で一番偉い状態の参謀クロトワはそんなに重要なキャラではないのですが印象的なセリフの多さとVC家弓家正が演じるせいかやたらと目立ちます。儲け役です。
風の谷に戻ってきたミトとクシャナと老人たち。虫に身体を不自由にされたクシャナは虫を逆恨みしているようです。
ナウシカとアスベルはメーヴェでペジテへ向かいます。
トルメキア軍が占領しているペジテはオームの群れや他の虫で全滅状態となっています。これはペジテの残党が腐海の虫を誘導してやらせたということです。
ペジテ軍機がやってきます。ここでナウシカはアスベルから「この人は風の谷のナウシカ」と紹介されます。作品のタイトル『風の谷のナウシカ』と同じセリフなので何となく印象に残ります。
風の谷のトルメキア軍に帰還するクシャナ。
ガッカリする参謀クロトワ、「短い夢だった」のセリフ。
クシャナの「愚か者め」のセリフ。と印象的なセリフの連発です。ナウシカの印象的なセリフはあった?
トルメキア軍の戦車を占拠する風の谷の老人3人。これギャグ?
ナウシカが捕まっているペジテ機がトルメキア軍機コルベットに襲撃されます。ちょうどナウシカにアスベル一派から救出の手が来たとこと同時に進行します。
脱出のために赤い服に着替えるナウシカ。メーヴェで離脱したとこをトルメキア軍機のコルベットが追ってきます。危ないとこをミトとユパが乗った風の谷ガンシップが到着してトルメキア軍機のコルベットを撃墜します。
ペジテ機のトルメキア軍はユパが制圧し、ナウシカは風の谷ガンシップで全力全速で風の谷に向かいます。
風の谷にて。風がやんだ不吉な状態となります。
トルメキア軍と風の谷が対峙するとこにガンシップのミトが到着してオームの大群がやってくると告げます。両者とも混乱状態となります。
おとりに使われている小型オームとコンタクトするナウシカ。
オームの体液で赤い服が青くなります。ここがこの作品の白眉なシーンなのかもしれません。この小型オームはナウシカが子供の頃に別れたオームなのか?偶然に再会したのかな。よくわかりませんがその方がドラマチックです。
オームの大群に対応するために巨神兵が登場します。
ところでどうやって巨神兵を制御しているのでょう。その場にいる中で一番位の高い者の命令を聞くの?
巨神兵は早過ぎた登場らしくてドロドロにグチャグチャの状態でした。ですが動画で描写しているのであまり粘着な質感は出ていません。これも現在の技術ならとなってしまいます。
口から光弾2発を発射しただけで巨神兵はドロドロにグチャグチャから更に溶解して退場となります。あっけないものです。
オームの大群の前に降りるナウシカと小型オーム。
正直言ってここまで描写したらナウシカは死んだ方が話し的にはバランスがよかったような感じもします。
大ババが説明してくれますが説教臭いの難です。
それで突然これで終りなのか?疑問が出そうなハッピーエンドになります。
すぐに後タイトルとなります。イメージソングで安田成美の名がクレジットに入っていたりします。このイメージソングは作品に全く合わないと語りぐさとなっています。
赤毛のナウシカ。
ナウシカのキャラクターですがTVシリーズ『未来少年コナン』(1978年)で例えるならアクション担当のコナンとテレパシー担当のラナを足してしまったようなスーパーキャラになったのが完璧過ぎて見てて息苦しくなり、かえってイマイチになったみたい。「ナウシカ、君は虫のほうがいいのか?」のセリフを進呈しましょう。
ナウシカのVC島本須美の声は少しウエットが過剰で最初はいいが聞いてるうちに段々と鬱陶しくなったりします。そんなわけであまり好みではありません。これが正直な感想です。
よい作品だと思いますが聖典というわけではないのでなるべく普通に見ましょう。何だか全然ほめていないような感想になってしまった。よい作品なのは間違いないです。
宮崎駿作品の版権は徳間書店からディズニーに移ったのですか。最悪から更に別の最悪になったという感じです。私の偏見なので読み流して下さい。
他の作品ではVCに素人や顔の知れた俳優を使うのもマイナスに思えます。優秀な声優がいるのに何で?となります。
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