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2005.02.19

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』

私の大好きな作品の感想です。
この作品は押井守監督の映画のセンスがよい方に爆発しているロマンティック・コメディです。私はそう思います。
この文はネタバレ全開となっています。

1984年 スタジオ・ぴえろ/キティ・フィルム/東宝 日本作品
ランニング・タイム◆98分
プロット◆学園祭まであと1日という話しのようです。それか、やっぱり君が好きなんだよというロマンティックコメディだとも思えます。少し風変わりですけど。
音楽◆星勝 押井守監督と打ち合せはやっていないと思えるが画面と結構シンクロしているのはどういうわけ?と音楽の使い方も上手いのが押井守監督のいいところです。

東宝発売のDVDにて。画質はよいです。
DVDの5.1chリミックス版のことで・・・
セリフのみのサウンドトラックは残っていたようでオリジナルのセリフ音声でした。よかった。これが違うと全く別の作品になってしまうのです。
音楽はモノラルなのか?そんな気がする。ステレオのような気もするけど。
全体的にセリフはクリアになっています。
効果音はサラウンドしてるとこもあります。バイクが階段を登るとこ等が印象的。
風鈴の音はクリアです。
レオパルド戦車主砲発射音は変更になっています。
そんなわけで、これは非常によい5.1ch化だと思えます。いい仕事ではないですか。感心しました。

以前買った3枚のLDがあります。
東宝発売の最初のリリースのLD(9500円)はそんなによくない。
東宝発売の2回目のリリースのLD(6180円)は少しよくなっている程度です。
バンダイ発売の3枚目となったLD『押井守◎監督全集【劇場アニメ編】THE SEVEN DOGS'WAR』(6枚組41200円)ではかなりよくなっているようです。ワイドスクリーンになっているのがいいとこ。ここまで来たらDVDの9800円でも買いますと思ったら6300円で出たので当然買った。
この作品は何故か版権が東宝になっているのが唯一の救いです。東宝もソフトの値段が高くてしょうもないとこですけど、アニメの非道なる商売人のキティフィルムよりはマシです。

この作品を最初に見たのは東宝の劇場公開の何かの作品がこけてその補充のアニメ3本立てがありその中に入ってました。そもそも別の作品をお目当てに行ったついでに見たようなものでした。原作も読んだことがなく何の予備知識もなくて素のままでこの作品を見れたことに幸せを感じます。
その3本立ては1984年9月の映画館にかかっていた、
『ルパン三世 ルパンVSクローン』(1978年)
『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)
でした。当時としては当然『ルパン三世 カリオストロの城』をお目当てに見に行ったものでした。
で、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を見てアニメは何でも出来ていいものなんですねと思いましたが、他の色々なアニメ作品を見てると駄作の割合が実写の日本映画に負けずに多過ぎでソフトの値段がやたらと高過ぎでアニメのボルテージも10年ともちませんでした。アニメファンはソフトの値段が高ければ高いほど喜んで買うのですからついていけません。

1985年頃から買っているNewtype誌をいまだに買っています。
とはいっても現在ではSFX映画製作状況のコラム位しか読んでいませんけど。Newtype誌はガンダムの表紙が長く続いていて何でそうなのかさっぱりとわかりませんでしたがNewtypeなる言葉がガンダム用語だということだとガンダムには全く興味のない私にもようやくわかりそうなのかと納得したものです。


キャスト→CV(キャラクター・ボイス Newtype誌ではそのようになっていました。)
後先考えない諸星あたる→古川登志夫
三つ数えていたり夢を見るラムちゃん→平野文
タバコを吸うサクラ先生→鷲尾真知子
お手伝いが板についてるしのぶ→島津冴子
浜茶屋の準備も忙しい竜之介→田中真弓
自律神経失調症の温泉マーク先生→池水通洋
話しの長い校長先生→西村知道
灯台もと暗しな面堂終太郎→神谷明
めまいをおぼえるメガネ→千葉繁
ビールが飲みたいパーマ→村山明
チビとはほとんどホモダチのカクガリ→野村信次
カクガリとはほとんどホモダチなチビ→二又一成
知らない人から物を貰うテンちゃん→杉山佳寿子
起きなさいの諸星あたるの母→佐久間なつみ
全然関係ない諸星あたるの父→緒方賢一
全然出番のない錯乱坊→永井一郎
やっぱり出ている白い少女→島本須美/平野文
人を見る目は変わらない夢邪鬼→モノホンの関西弁を喋る藤岡琢也

押井守監督の演出はよいと思います。
合成を多用しています。セル画を重ねるアニメは何でもパンフォーカスになるので遠近の距離感を出すために合成を使っていると思えます。
クローズアップショットを丹念に入れています。カビの生えた壁に食い込むサクラ先生の手とか色々とあります。
前半はサクラ先生が主人公みたいで後半は諸星あたるが主人公となっているようです。


プロローグ。
水辺にて。針の無い時計塔。
東宝 キティ・フィルムのタイトルが短く入ります。前タイトルはこれだけです。
学園祭前日のモンタージュがあります。東宝特撮キャラが総出演となっています。これで版権が東宝になったのかも。どっちが嫌いかというと東宝よりキティ・フィルムが嫌いなのでこれは不幸中の幸い?

電撃騒ぎの一席があります。
ラムちゃんが「三つ数えるうちに・・・」とういうのも映画っぽくていいんです。

お湯を沸かすシーンでタバコを吸うサクラ先生。
インターネットにはタバコを吸う有名人のサイトがあり『脱出』(1946年)のローレン・バコールとか『ブレードランナー最終版』(1982年/1992年)のショーン・ヤング等が入ってます、そのsmokingsides.comのFemale Celebrity Smoking Listにぜひこの作品のサクラ先生を加えてほしいものです。
ここでラムちゃんから夢の話が出ています。一応前振りのようです。

牛丼を買いに行く諸星あたると面堂終太郎。
運転手付のキューベルワーゲンに乗っています。
急ブレーキから謎のちんどん屋が登場。
キューベルワーゲンの運転手はどこに行ったのでしょう。いつのまにか消えてしまった。ハワード・ホークス監督の『三つ数えろ』(1946年)の原作と合わせると運転手はどこに行った2本立てにもなります。で、『三つ数えろ』なんて映画の脚本段階で原作者のレイモンド・チャンドラーに聞いても運転手はどこに行ったのか分からないとなっていたそうです。

翌朝です。やつれが激しい温泉マーク先生。
温泉マーク先生は診察を受けますが、まぶたが引きつるチック症状が顕著で自律神経失調症そのものといった感じで、そんな温泉マーク先生に「しっかりと頼みますよ」とプレッシャーをかけてダメを押す校長もブラックです。そんなことを言ったら益々自律神経が失調します。

薬の手違いで温泉マーク先生のアパートに急行するサクラ先生。
サクラ先生のバイクはBMW R80GSです。階段を駆け登るシーンがいいです。
私は中型二輪免許で20年くらいバイクに乗って全く飽きなかったので教習所で取れるようになった大型二輪免許を取りました。別にこの作品からではないのですがようやく私も大型バイクに乗れるようになりました。長かった。

喫茶店で話しをするサクラ先生と温泉マーク先生。
「デジャビュー」のセリフ。回るカメラ。窓に移動するカメラ。よいシーンとなっています。
学校に向かうとこでバイクの2人乗りとなりますが、途中でバイクが代わったようです。これは何の意味があるの?わけわからん。

学園祭前日の徹夜仕事は禁止となり帰宅する2年4組の面々。
電車で帰宅するメガネとパーマ。
バスで帰宅するカクガリとチビ。
キューベルワーゲンで帰宅する面堂としのぶ、それに運転手。
サクラ先生は錯乱坊を訪ねるが不在です。
電話ボックスのサクラ先生のシーンが私のお気に入りです。これは寄っているだけのですがよいシーンです。
面堂がしのぶを自宅まで送る時に夜道を迷うとこで、ヘッドライトで黄色く染まる路地のシーンはオムニバス作品『世にも怪奇な物語』(1967年)のフェデリコ・フェリーニ監督編のとこから引用したようです。
サクラ先生がタクシーに乗って運転手と問答の図。竜宮城の話が出ます。

結局諸星家に泊ることになります。
ここから電話をかけるサクラ先生。学校の温泉マーク先生は不在です。
電話のベルが連続して鳴るよいシーンがあります。

諸星家から登校する2年4組の面々。
水溜まりに魚が一瞬見えるシーンがあります。
美しい風鈴のシーンがあります。

レオパルド戦車がプールで行水しています。
登校中に消えた諸星あたるが出現して面堂と揉めます。
ここで2回目の電撃の図となります。

お好み焼き屋にて会議となります。
面堂終太郎以外の面々は食うのに夢中でも一応話は聞いているようです。

校内探索となる2年4組の面々。
諸星あたるは鏡のトリックに引っ掛かったようです。
大騒ぎになりますが全く得る物は無く撤退となります。このシーンは針の無い時計塔で締めます。

秘密基地マッハ軒へ向かう2年4組の面々。
これが1960〜1970年代の映画によくあった秘密基地仕様になっています。エレベーターで地下基地へとなります。いいな。
『ミクロの決死圏』(1966年)
『アンドロメダ・・・』(1971年)

シーハリアーで飛び立つ2年4組の面々。
友引町が亀の上に乗っかっている引きの素晴らしいシーンがあります。
結局、諸星家に緊急着陸となります。

コンビニで買物をする風景。
人民裁判というのがアナクロでいい。アナクロとアナーキーとアナログは似てるけど違う意味の言葉です。
レジに借用書を貼る設定はSF小説にあったような。何だかは忘れてしまった。

トラックで移動中にメガネのモノローグ。
帽子は被った方がいいとわかります。

楽しいサバイバルのモンタージュ。
見ている映画は間違いなく本多猪四郎監督/特殊技術 円谷英二の『ゴジラ』(1954年)です。これを似て非なるものですと言い抜けは出来ません。だからこの作品の版権が東宝になっている?
行方不明になる女性達。ここはミステリー調となります。

夜、時計塔跡にて。
「ありおりはべり・・」のサクラ先生。
策士策に溺れる図から無邪鬼登場。詭弁の図から回想の水族館のシーンとなります。
水族館で会話をして巨大水槽をスクリーンに見立てるとこはアルフレッド・ヒッチコック監督の『サボタージュ』(1936年)でやっていたりします。後から『サボタージュ』を見て鳥カゴのシーンまであってビックリしました。

無邪鬼と交渉する諸星あたる。
「何のメリットが・・・」のセリフはいいです。
結局交渉は決裂してバクが登場してこの夢を食い尽くすことになります。
このシーンは素晴らしいと思います。学校跡が吸い尽くされるシーンではまず水が先に吸い込まれてから地盤が吸い込まれています。軽い物から重い物となっています。このようなロジックが通っているディテール描写が冴えています。

諸星あたるの悪夢が続きます。
無邪鬼の悪夢連続攻撃が4パターン。
1.キューベルワーゲン赤信号編。
2.起きなさいから鬼ごっこ失敗編。
3.フランケンモンスター決闘編。
4.コールドスリープはセット編。
私は赤信号編が好きです。

DNA連鎖のシーン。
「責任取ってね」のセリフから諸星あたる落下となります。このシーンはお見事です。マジで夢を見ているようです。
女性の名前を連呼する諸星あたる。最後にラムの名を呼ぶとこがいい。
現実に戻り3回目の電撃となる諸星あたる。結局この話は夢オチではないようです。

後タイトルとなります。
ここで始めて『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と出ています。面白過ぎで最初はこのような構成とは気がつかず。


よく映画を見ている押井監督はどちらかといえばヨーロッパ作品が好みのようです。
針の無い時計塔はマルセル・カルネ監督の『愛人ジュリエット』(1950年)で出てきたのでビックリしたものです。時計のチャイムの鳴るとこやトンテンカンテンの効果音まで入っていました。そういえば『愛人ジュリエット』も夢が出てくる話しでした。現実逃避な展開に非難が出そうなとこですが主演がオタクタイプとはほど遠い永遠の二枚目ジェラール・フィリップなのでそんな文句が出てこなかったりします。

この作品ではないのですがアルフレッド・ヒッチコック監督の『鳥』(1963年)からの引用で秀逸なのが『機動警察パトレイバー2』(1993年)です。オリジナルの『鳥』のカモメの群れが燃えるガソリンスタンドを俯瞰するシーンが『機動警察パトレイバー2』では攻撃ヘリのヘルハウンドの編隊が隅田川河口上でホバリングしている俯瞰シーンになるのです。コピーではない見事なバリエーションでした。鳥がヘリコプターになるセンスが素晴らしい。

このうる星やつらの映画シリーズは3.4と回を重ねるごとにわけがわからなくなります。あまり有能でない監督に不条理物をやらせると何でも出来るというせっかくのアドバンテージを使いこなせず猫に小判というかキチガイに刃物というかロクな出来になりません。

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は50回位は見ています。
意に添わない脚本のままで撮ったと思われる『うる星やつら オンリー・ユー』(1983年)のうっぷんをはらすがごとく『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)では押井監督の映画のセンスが爆発しています。それで、その映画のセンスがよい方に爆発しているのがなによりでした。これで音楽が川井憲次だったらと思わせてしまいます。

これはホントに面白い作品です。私にとってはハワード・ホークス監督の『ヒズ・ガール・フライデー』(1940年)と合わせて登場キャラが喋りまくるロマンティックコメディ2本立てになります。

夢を扱った作品で『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』に影響を与えているのは、
『愛人ジュリエット』(1950年)
『夜ごとの美女』(1952年)
だと思われます。このジェラール・フィリップ主演2作はお勧めです。


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